人工弁とはどういうものか、そのケアと劣化予防について
とすると、今日の話はどこまで皆さんのお役に立てるか、ちょっとわからないんですけれども。私たちは心臓の手術で体の中に人工弁とか人工血管とか、いろいろ人間がつくった異物を埋め込む仕事をしています。皆さん方の疑問というのは、その人工物が入って体の中で一体それが今どうなっているのか、メンテナンスは要らないのかなとか、僕が外来で診察している患者さんはそういう疑問があります。何年間たって非常に調子がいいんだけれども定期検査には毎回、毎年のようにいらっしゃる方がほとんどです。今日は人工弁とはどういうものがあって、人工弁に対するケアはどうなのかということを中心にお話しをさせていただきます。対象は人工弁の置換手術を受けられた患者さんに対してのお話です。
人工弁には生体弁と機械弁があります。この後、また細かい分類が出てきます。生体弁というのはいわゆる生体材料です。生体組織を使ってつくった人工弁のことです。機械弁というのは、その構造が完全な人工物、鉱物でできているものです。チタンやパイライト・カーボンなどの金属を主軸として、カーボンでできている2枚の金属のディスクの構造をしています。
どのような違いがあるかというと、生体弁はもともと大動脈弁に似せた構造をしてますので、血液の流れは常に心臓の力によって押し出された血液で両方とも自動的に動くんです。生体弁は血栓が沈着してその血の塊によって動かなくなることはまずない。機械弁はそのリスクが、ちょうつがいのところにはまっているために、ちょうつがいに血の塊がついちゃうと動かなくなってしまいます。ですから生涯、抗血栓療法で血の塊ができないようにするお薬を飲まなきゃいけないという問題があります。
耐久性は機械弁に関しては半永久的です。ここに20年から30年と書いてあります。構造的な劣化というのはまずないです。生体弁に関しては構造的に何か劣化してくるという問題を常に抱えてますので、それをどういうふうに予防するかという問題。製品の特性としていろいろな工夫がされているのと同時に、その後のケアがどうしても必要になってくるという問題です。今日はその点に関してお話をしようかなと思います。
いま主流なのは生体弁 その種類と特徴について
生体弁を選ばれる患者さんは、要するに血の塊ができないようなお薬を飲めない、飲みたくない人。飲むと危険な目に遭うという可能性がほとんどある人で、そういう方々を対象にして入れます。皆さんはお薬を飲むって大変ですよね。命にかかわる、これを飲まないと弁が固まって死んじゃうかもしれないなんていうお薬を、お年を召して認知症になり、今朝のお薬を飲んだかどうか覚えてないという方になかなかお出しすることは難しいです。ご家族の方がいらっしゃって管理をしている方ばかりではないですね。お一人で住んでいる方もいらっしゃるし、ということで、そういうことの心配がない弁ということで生体弁が今、主流になってきています。次です。
これは生体弁で、生体材料を用いてつくられた弁のことです。じゃあ、その生体弁というのはどんなものがあるか。ほんとは写真や図をお見せするといいんですけど。同種生体弁と異種生体弁があります。同種生体弁というのは人間の生体材料でつくったものです。異種生体弁というのは人間以外の動物(ウシとかブタ)の生体材料でつくったものです。同種生体弁の中のホモグラフトと言われるものは、人間の大動脈弁を加工したもので移植です。組織移植ということで、日本でこれを入手するのは非常に難しいです。移植法が変わりまして、これからだんだんそういうものも手に入るようになってくるかもしれませんが、まだまだと思います。
それに対してオートグラフトです。これはご自分の中にある弁を使う手術です。人間の心臓には四つの弁があります。大動脈弁、肺動脈弁、入り口についているのは三尖弁、僧帽弁とあります。出口についている大動脈弁と同じ格好をしているのは肺動脈弁です。これは小さいころは大きさも形も非常に同じような格好をしています。高血圧の子供なんてあまりいませんから、15歳以下ぐらいの子供は将来的に肺動脈弁を大動脈弁に持ってきても、いずれその大動脈弁の形になってくる。そういうポテンシャルを持っているものです。大動脈弁が先天的に異常があって、出口にある一番重要な弁、肺動脈弁を持っていることで大動脈弁の代わりをしようというのが、このオートグラフトというものでロスの手術といいます。これはどちらかというと小さいお子さんの手術です。
皆さま方に私たちがやっている手術というのが、この異種生体弁の手術です。先ほど小さな写真がありましたが、ブタの大動脈弁で、支柱に縫い付けた生体弁と、ウシの心のう膜を支柱に入れた生体弁。そして支柱というものがついてないブタの大動脈弁を取ってきて、そのまま加工したものもあります。フリースタイルという名前がついている弁です。
これが生体弁、ウシの心のう膜です。きれいですね。生体弁を入れた患者さんに僕も手術後に写真と実物をお見せしたことがあると思います。両方とも実は僧帽弁です。下向きになっています。血液は上からこっちに流れています。大動脈弁はこっち側からこっち、ほとんど似てますよね。実は縫い代のここの部分だけの構造が違って同じものです。
これも大体似ているんですけど、ちょっと工夫していて、出口のところにつける縫い方がちょっと変わっている弁です。これと比べて少し大きめの弁口面積。開いたときの有効弁口面積が稼げるという新しい弁です。構造がこんなになっています。何だ、こんなもんなのかと。入れられている方は、えーっと思ってらっしゃるかもしれないです。実はすごい、この形になるまで工夫があるんです。言い始めたら明日の朝になってしまうので、やめておきます。
基本的な構造は、コバルト、クロム、ニッケル合金でつくったエルジロイという合金が支柱に膜が縫いつけてあるというか、はめ込んであるような格好です。縫いつけると針穴が開きますから、そこが切れてしまって、ばりっと破けるということが起きますので、かなりその辺の縫着方法は工夫されているようです。
膜です。これはブタの弁と、ウシの心のう膜弁があるという話です。これはたまたま、今出しているのはウシの心のう膜弁。心のう膜というのは心臓を覆っている袋の膜のことです。ウシですよね。ウシの心臓を皆さん、見たことがあるかどうか。焼き肉屋にいてもなかなか食べられないですけどね(笑)。ものすごい大きな心膜で、写真をテーブルの上に広げてあります。こんなものです。厚みの表です。コンピューターで厚みを全部計測していて、厚みが均一なところを色分けしているんです。
同じ場所からできるだけ取って、3枚の膜が全部同じ厚さになるように工夫されていて、それをエルジロイという合金の支柱にはめ込んだ形です。キットができていて、このような形で弁をつけているそうです。これは針子さんがこう言うふうにつくるんですね。全部手製です。機械でつくっているわけではなくて手でつくっています。この人たちはこれだけでご飯を食べています。ほかにいないという特殊技能です。
血液を固めにくくする抗凝固療法 ワーファリンなど
このようにしてつくった生体弁が先ほど表にありました。ワーファリンが要らない、抗凝固療法が要らないという弁になってくるわけですが、さて抗凝固療法。人工弁を入れた患者さんはこういう話を聞いて手術を受けられるわけです。弁置換の手術を受けた方が血栓ができるのを防ぐために血液を固まりにくくする抗凝固療法が必要になり、ワーファリンを初めとする抗血液凝固剤を服用します。
置換で機械弁をはめ込んだ場合、生涯にわたり必要となります。生体弁を埋め込んだ場合には心房細動がある方を除いて、2〜3カ月間の服用で済むことが多いです。何だ、じゃあ生体弁だ、これだ、とみんな思うわけです。物がもって一生涯ずっと動いてくれれば、これにこしたことはないし、わざわざそんな煩わしい薬を飲みたくないと思います。機械弁はどうしても耐久性の問題で、こちらのほうがいまだに、できればこれでいくと再手術を受けなくて済むということで、外来で僕らがやっているのは、抗凝固剤を内服していただきながら、ここに示すようなことを患者さんに守っていただいているわけです。
生体弁では3カ月間、機械弁では生涯ということになります。まず、定期的に検査を受けて、検査により薬の効きめを確認するためのお話をします。どういうことかというと、お体の調子に合わせて、体調はいつも変化してますから、血の固まる能力はいつも変わっていると考えなきゃいけないです。ですからワーファリンというお薬を飲んでその量を調節するわけなんですが、体の状態、肝機能、それから凝固能力に影響を受けます。
ビタミンKなどの食事制限・見えない所の内出血にも要注意
それから食事によっても左右されます。食生活の変化とか、嗜好品が変わったとか。それからあとは一緒に飲んでるお薬が変わったとか。例えば尿酸血症をお持ちの方、高尿酸血症をお持ちの方は尿酸排泄促進剤という薬を出します。この薬はワーファリンの治療作用を増強します。それから痛み止めみたいなものも、やはりワーファリンの作用を増強します。ですから、そういうものが新しく始まったというと、一々チェックしなければいけないですね。そういう問題がどうしてもありますので、やっぱり検査に来ていただかなければならない。
そして食事制限があります。抗凝固剤であれば、ワーファリンの作用は肝臓におけるビタミンK依存たんぱく。これの合成阻害を行うことによって凝固能力を低下させて体の今のその状態に合った凝固能力を調整する。大体かなり厳しい調整になりますが、体調の変化や肝機能の変化、食事の摂取量や内容の変化に常に影響を受けるんだということを知っていなければならないです。
そしてそういうお薬を飲むと血が出やすくなるので出血に常に注意しましょう。危険な作業、危険なスポーツ。やっぱりご自分で自制しなければならないところも出てきます。体の変化には常に過敏になりましょう。どこかから出血した。鼻血が出た。それから足の出血が止まらなくなった。もしかしたら体に何か変調があって、今までのワーファリンの量が多過ぎるようになったのかもしれない。常に考えなきゃいけないです。
あざが急にできるようになった。女性の方でも非常に皮膚が薄くて、あちこちぶつけてもいないのに、あざができるという方は薬を飲んでなくてもいらっしゃいますよね。そういう方が急に、例えばそのようなことがなかったのに出てきたとか。それから気がついたら、ひざの裏が真っ黒になっていたとかあります。外来にも今までも何人もそういう方が来ています。そういう方は何かやっぱりあるんです。チェックをして、ワーファリンの量が急に多くなっている。ご自身で間違えて飲んでる場合も当然あるかもしれません。そして何かその作用を増強するようなお薬がほかの先生から始められたということもあるわけで、やっぱり体の状態というのは気にしてなきゃならないですね。
同様にそういう出血は尿や便に血が混じることがあります。見えないところでの出血が一番恐ろしいです。皮膚は見えるからあまり怖くないです。膀胱の中とか、腎臓からとか、消化管です。一過性に言葉や意識を失った、と嫌なことが書いてあります。頭の中に微小の梗塞を起こして出血したとか何かあるかもしれません。そんなこともやっぱり気にしてなきゃいけないし、体の一部に異常な痛みとか腫れ、不快な症状がする。これは何のことを言っているかというと、いわゆる内出血です。腹腔とか、胸腔とか、体の中はいろんなスペースがありまして、そんなところに出血するとこんな症状が出てきます。
人工弁の音が何か変わった、これは意外と多いです。というか、単なる気のせいがほとんどなんです。埋めてからだんだん音って変わってくるんです。感じ方も変わってくるんで、みなが病的な意味を持っているわけではないんですが、やっぱりそういうことをいつも気にしてるということは重要です。よく手術の患者さんに機械弁を入れた後、この音は命の音だから、この音が聞こえているうちは大丈夫だよという言い方をして無理やりに納得していただいたりしています。このようなことを気をつけながら、主治医の先生とつき合っていただきたいと思っています。それで当然、病院に来なきゃいけないわけです。抗凝固療法はやっぱり面倒くさいですよ。いろんな大変なことがある。ワーファリンを飲む機械弁はやっぱり嫌われます。
構造的に劣化していく生体弁 他の血栓症の予防も必要
この間、考心会のアンケート調査で、「今度入れるならば何の弁を入れますか」と聞いたら、機械の弁を入れて何も問題ない人も、「やっぱり生体弁がよかったかな」と言う方もいらっしゃるみたいです。僕らとしては、どちらも、いいところ、悪いところを、患者さん個々に合わせて使っているつもりですが、当然そういう意見が出てきてもおかしくはないと思います。
じゃあ、生体弁は3カ月以降はワーファリンというお薬、抗凝固療法は要らないのか。メンテナンスフリーでいいなら、そちら、と皆さんは考えてしまいがちなんですが、実はそんなことは当然ありません。構造的に劣化していくのが生体弁であって管理がどうしても必要になります。そして生体弁であろうと、機械弁であろうと、異物には違いありません。異物が体の中に入っていることに対してのいろんなケアは、やっぱり皆さんがずっと考えていかなきゃいけない問題です。
抗凝固療法は実際にどういうふうにお薬を使って、どういうふうにやるのが推奨されているか。これは2006年のAHAというアメリカの心臓病学会のガイドラインからの抜粋です。ワーファリンとアスピリンというお薬が出ています。コントロールの量がここに書いてあります。アメリカ人のほうはかなり厳しいコントロールになっています。アスピリンがクラス1と書いてあるのは、ある程度根拠を持ってやったほうがいいですよと強くお勧めしている内容です。ある程度有効性が認められている文献が多いよというのが2Aです。そういう形で分類されていますが、アスピリンという抗血小板剤はワーファリンと作用が違うんです。商品名はバイアスピリン、バッファリンと言います。こういうものがほとんどの患者さんに生体弁でも飲んでいただこうという勧告があります。
だから僕らは皆さんに、ワーファリンは切ってもこれだけ飲んでてね、とたった1錠の小さなバイアスピリンだけお出ししていることが多いと思うんです。これはこういう意味です。なぜ飲むか。ここに「リスク」と書いてあります。リスクファクター、心房細動。左室機能の低下です。LVというのは左室の意味です。血栓塞栓の誘発及び凝固亢進状態と書いてあります。要するに心臓の中で血の塊ができやすいような不整脈。弁がなかなか開けられないような心機能の低下。だから開放時間が短いです。ちょっと開いてすぐ閉まっちゃうような感じです。振幅が少ないと血の塊ができやすいですから血栓を生みやすいです。
それから、かつてどこかに引っかかったことがある。血の塊ができた気泡がある。血がすごく濃い。肺の病気の人は血が濃いですね。あとはたばこを吸う人。脱水ぎみの人。皆さん、そういうことで何かしら血液疾患を含めて、こういう問題は血栓準備状態ということで、やっぱりワーファリンだけでは効果がないです。
ワーファリンというのは、実は機械弁、生体弁の両方とも共通して言えることですが、このお薬だけで脳血栓症を予防できるものではないというのが一般的に言われています。ですから体のコンディションを常に、こういうリスクがある方はリスクをとって、バイアスピリンなどのアスピリンを飲んだほうがいいと一般的に言われます。脳血栓症をやった人はよく血液さらさらのお薬を飲んでます、とか言います。要するにあれが必要になるわけです。抗血小板剤、それがアスピリンということで、皆さまにはそういうお薬を出しているわけです。
ということで、生体弁であっても抗凝固療法は要らないというわけではないことを覚えておいてください。要するに、それは弁が構造的に動かなくなってしまうから予防的に飲むお薬としてではなくて、結局ほかの血栓症ですね。血の塊が頭に飛んでしまうとか、どこかに血の塊が出来上がってそれが何か悪いことを起こしてしまうことを予防するためには、そういう治療、またはそういうケアも必要だということです。脱水の問題、食事を怠るようなことがないように。
それから一番重要なことは消化管の機能です。腸の中の環境が一番いい状態になっていることが重要で、それが感染の問題としても出てくるわけです。そういうケアが必要だということを気に止めていただきたいと思います。
人工弁を入れた術後の状態 劣化と合併症・感染症
そして人工弁を入れた患者さんの術後の状態をご自身が考えていくに当たって、まず人工弁が今後どういう問題を抱えるのかということを知らなければ、一体何をやっていいのかということがわからなくなります。人工弁に付随する問題点ということになります。合併症と書いてあります。まず構造的な劣化という問題が生体弁にあります。機械弁は一応壊れないとされています。今はほんとにいいものばかりができましたけれども、かつてここに至るまでには壊れた機械弁ってありましたね。それでひどい目に遭った患者さんも中にはいたわけです。
そして非構造的な劣化と書いてあります。これは人工弁の周囲の問題です。埋め込まれた心室の出口の筋肉が盛り上がっちゃったとか、組織が創生して出口がふさがってきたとか。それから縫着部位が緩んだとかいうものが問題になってくることがあります。
感染とかそういうものはほかの問題で下側の5番に入ってきます。周囲の問題で弁の機能が果たせなくなった状態も挙げられるわけです。これは術後の遠隔期になって起こることもあります。血栓面、これは要するに血の塊で固まっちゃって動かないということで、先ほど言った内容です。そして塞栓症。抗血小板剤などのお薬も当然必要だということを今、お話ししました。
そして出血の合併症と人工弁の感染という問題に関しては赤字にしています。今後、常に考えていかなきゃいけない問題だということです。この構造的な劣化とか、血栓面、塞栓症。患者さんが病院に一生懸命に行って、先生を信じて、その先生の言うとおりにその弁を入れてもらって、これは信じるしかないですね。ご自身でやることってあまりないと思います。病院に行くことだけが唯一の方法です。ただ、その下側の出血性合併症と感染の問題に関しては、今後ずっと気に止めなきゃいけない問題だということで、それが心配で皆さんは外来のほうにいらっしゃるんだと思います。
その問題に関して、まず一つずつ行きたいと思います。劣化に関しては生体弁のことが問題になります。要するに劣化というのはカルシウムが沈着して硬く動かなくなるということです。製品としてもいろいろな工夫がされています。先ほどちょっとお見せしたウシの心膜弁、実は日本で使われている心膜弁というのは前の世代です。欧米では5年前に新しい抗石灰化処理の方法が認可されていて、残念ながらまだ日本には入ってきていません。厚生労働省側がまだ認可を下してくれていません。
今まさに現時点で入れている生体弁は、ちょっと前の世代の抗石灰化処理です。やり方はこの特殊なアルデヒドという液に心膜を入れて固定して、コラーゲンという基質がちゃんとそのしなやかさを保つように固めるわけです。そして固定処理を行ってコラーゲンがちゃんと曲がるような状態を維持しながら界面活性剤で洗うわけです。石灰化というのはどうして起きるかというと、一番外側の膜(細胞膜)はすべてリン脂質とコレステロールでできています。ここのリン脂質というものがカルシウムと置き換わることによってカルシウムが沈着してきます。
ですから、最初から膜のリン脂質を全部洗い流しちゃえば置き換わるものがないですから、カルシウムが寄ってこないという理由から抗石灰化処理というものが今使われているウシの心膜弁には行われています。実はブタ弁はまたちょっと違うやり方になるみたいですが、基本的な考え方は同じです。このように工夫をしていても、その後から人間の体内に生体弁が埋められると、いろんな血液に接することによる環境にさらされるわけです。
血の濃い人、薄い人、血液の流れが速い人、遅い人、それからコレステロールがたっぷりある人、中性脂肪が高くてどろどろの血液の中で動いている生体弁といろんなものがあります。これが要するに何とかできないかなという話になってくるわけです。せっかく入れたものですから長持ちしていただきたいわけです。最初は大動脈弁ですと大体20年ぐらいですよと。僧帽弁に入れると10年ぐらいで要注意と今は言ってますけれども、もっともっと長く動いててほしいので、皆さま方が一体何をすればいいのかと、当然疑問に思うわけです。
大動脈弁の一番の問題は動脈硬化(狭窄症)
外来で僕らが診ている患者さんは、ほとんど採血をしますよね。弁のお話の前に、僕はよくコレステロールの話をします。これはなぜかというと、入れた生体材料が、またその構造物がちゃんと機能していくためには血液がよくなければ話になりません。動脈硬化というのがあります。それは結局、血液が組織に対していろんな炎症を引き起こし、それを修復する過程で悪いものが沈着して、役に立たない材料で組織が修復されていくから分厚くなり、硬くなり、はげ落ちて、血管がぼろぼろになってという形になっていくわけです。同じことが生体弁にも起こっていくわけです。
ということで、いろいろな研究がされています。まず動脈硬化の話にちょっと触れました。実は大動脈弁、これはご自分の弁の話です。大動脈弁は今、狭窄症という問題が一番多いんですけれども、硬くなって動かなくなるということです。実はかつてリウマチとか感染に伴うものが多かったのですが、今は動脈硬化がその一番の原因となっています。生活習慣の欧米化、それから食生活の変化によって弁が動脈硬化と同じ機序にさらされて硬くなっていくというのは証明されているんです。
スタチンという高脂血症のお薬があります。コレステロールを下げる薬で皆さんも飲んでいます。クレストール、リピトール、メバロチン。名前を聞いたことがあると思います。こういう薬がスタチンの仲間です。これを飲むと、実は大動脈弁の石灰化が止まるんではないかといういろんな研究がされていて、徐々にそういういい結果が出てます。ですから今、大動脈弁の狭窄症の患者さんには、ちょっと狭いんだけど、という人にはコレステロールの値を見て、これ治せるところがあったら中性脂肪を下げましょう。善玉のコレステロールが少ない人は善玉のコレステロールを上げて悪玉を何とか下げましょう。そして1年でも長く狭窄が進行しないようにしましょうね、というのが今やっている仕事です。
これと同じことが生体弁にも言えるんじゃないのということで、またそういう実験や研究も進められています。これは実はそうじゃないんじゃないのというふうなことを言った論文もあるんです。実は最後のところでよく見てみると、結局その観察期間が短かかったりとか、対象数が少なかったりということで、結果的には、はっきりとしたことは言えませんという結論で終わっています。こういうものもあるので、まだ研究としては断定的な話にはなっていないんです。
メタボは生体弁の劣化が早く進行する
生体弁をもう一回考えてみましょう。メタボリックシンドロームですね。おなかの回りが85。女性は90。90ですよ(笑)。ねえ。皆さん、ちょっと心当たりがあって、ぐっと今、おなかに力が入った方が多いんじゃないかなと思います。メタボリックシンドロームというのは腹囲が85以上で、高中性脂肪または低HDLコレステロール、それから高血圧、高血糖のうちの二つ以上が当てはまって、内臓脂肪型肥満により糖尿病や高脂血症のさまざまな病気が引き起こされやすくなった状態です。放置すると動脈硬化の引き金になるということで、今、話題になっているわけです。「今、話題になっている」という言い方はおかしいですよね。これはずっと昔から当然あるわけであって、結局こういうことが提唱されて、「脂肪」「脂肪」「血糖」「血糖」とそのことばかり、皆さんは聞くようになりました。
生体弁を入れている患者さんも同じ考え方でいけるんじゃないのということで、当然調べている方がいらっしゃるわけです。先ほどの論文にありましたように、大動脈弁狭窄症の患者さんではメタボリックシンドロームは単独で症状の進行促進因子となるという研究が出ました。もしかしてメタボリックシンドロームは生体弁に影響があるんじゃないかということで調べてみるとやはりあるんです。
この研究は『The Circulation Frontier』(2006年度版)という非常に有名な雑誌に出ています。対象の生体弁を埋め込まれた217人の患者さんに調査をした結果、メタボリックシンドロームのある患者さんで生体弁の劣化が早く進行していたことがわかったわけです。下に棒グラフがあります。糖尿病も書いてあります。糖尿病はない群と、ある群で比べると、圧較差という、弁が硬くなってくると血液が出にくくなりますから圧力損失が起こるわけです。その圧力損失をエコー内で見ていて硬くなっているかどうかをずっと観察していくと、やはり糖尿病のある人のほうが早く硬くなっているみたいです。そしてメタボリック症候群と診断された人のほうが圧倒的に2倍ぐらい早く弁が硬くなっているみたいです。
さあ、大変ですね。こんなことを聞いたらもう……。これはほんとに一つの因子です。みんながそうだというわけではないです。現にリウマチ性の弁膜症で大動脈弁狭窄症という人は、もともとの病気の発生機序が炎症とか感染とか原因が違います。だから動脈硬化性に弁が硬くなった人がこれはすごく当てはまると思います。ただ、リウマチ性の弁膜症で硬くなった人は果たしてほんとにそうなのかはちょっと疑問です。でも、悪い脂が、悪いコレステロールがやっぱり人工物に悪い影響を与えることは、皆さんも話を聞いていただいてうなずけるんではないかなと思うんです。ですからご自身で管理ということで、できることといったら、血液をよくしたほうがいいだろうということがわかっていただけるんではないかなと思います。そういうことで、脂の話、高脂血症の話、メタボリックの話はこの辺で終わります。
抗凝固療法における出血 抜歯と外科手術
今度は人工弁の管理の問題で出血とのつき合いということになります。生体弁でもバイアスピリンを飲まなきゃいけないですからね。抗血小板剤というのはやっぱり血が出やすいです。歯医者さんに行きます。「あなた、何のお薬を飲んでますか」「バイアスピリンを飲んでます」と。「いやあ、ちょっと抜歯は。うーん、ちょっと待ったほうがいいかな。先生に聞いてきてください」と言われます。実際に出血の問題はやっぱりあるんです。あとは歯ブラシをするといつも出血して困っている人。それが嫌でバイアスピリンを飲まなくなっちゃったり、また歯ブラシを怠ったりという方も中にはいらっしゃいます。
じゃあ、実際に歯医者さんで歯の処置をするときに、抗凝固療法はどうやったらいいのかということで、ここを見ていただくとちょっと嫌なことがあります。これは今現在の日本循環器学会のガイドラインからの抜粋です。循環器学会のほうでは原則、抜歯の話をするときも、「ワーファリンの投与中止は行わないでくれ、やめちゃ駄目だよ」と言っているんです。歯を治療してくれないと困るわけです。「先生、どうしたらいいでしょう」「やってくれる先生のところへ行ってください」という言い方で皆さんは非常に困ってしまいます。
つい、2〜3年ぐらい前までは、大体5日前、3日前からワーファリンの投与をやめれば大丈夫ですよ、という言い方をしてました。今は欧米のほうのスタディーに書いてあるように、大体ワーファリン100回ぐらいやると、1人ぐらい、1回ぐらいは血栓症ができるみたいです。こんなことを調べた人たちがいるんです。
プロトロンビン時間のINR(国際標準比)で効果を決めるのですが、2から4。皆さんはこの辺に入ると思います。今は2よりちょっと下側の人たちもいます。そのような方はワーファリン継続でも重篤な出血性合併症を伴わずに抜歯できるというのが明らかになったと、そこまで行っちゃっているんです。歯医者さんはたまったものじゃないですね。
今は学会のほうから、歯医者さんのほうの学会に一生懸命、ワーファリンをやめないでも抜歯できるように何とかしろと言ってくれてるみたいです。ただ、間に挟まれた患者さんがちょっと大変ですよね。やっぱり先生に一々聞いていただかなければいけないんですが、原則そういう意味でワーファリンを飲んでいる方はそういう扱いになるし、バイアスピリンを飲んでる方もやめないほうがいいんだろうなということで僕らも考えています。これは主治医の先生とよくご相談をしてから考えていただくのがいいのではないかなと思います。
そして外科の手術。これもやっかいです。これはもう人間生きていれば、いつかはいろんなところを取らなきゃいけないし、手術を受けなきゃいけないということで、いつか必ずワーファリンを飲んでいる人は出くわすことになるかと思います。大体外科の手術とか血を見るような手術をする場合、3日前からワーファリンを止め、ヘパリンという薬の持続投与を行います。手術をする6時間ぐらい前にそれをやめて、ちゃんと薬の効果がなくなってから手術を受ける。大体1・5以下になっている状態だと出血の心配はあんまりありません。術後は出血がないことが確認でき次第、ヘパリンの持続投与を再開してワーファリンをちゃんとコントロールしましょうという話です。皆さんは普段はお医者さんのところへ通ってワーファリンを飲みながらやっている人はすでにこういう話は聞いたことがあると思いますが、常にこういうことをしなければならないわけです。
出血というのは非常に嫌なもので、おっかないですよね。僕の患者さんでも何人もそれで痛い目に遭ったり、つらい目に遭ったり、脳出血を起こしたり、交通事故で亡くなられた方もいました。そういうこととのつき合いをやらなきゃいけないということで、やはりご自身で管理し切れないという面も出てきますから、何とかそういうこともサポートしたいと思っています。
人工弁は感染症にさらされやすい 治療と予防
最後になります。これが一番問題だと思っています。感染です。異物ときたら感染です。人工物は常に感染にさらされやすい。ある程度時間がたって、もうご自分の組織がそれを覆ってしまえばまず問題ないよという言い方で、私たちも常に皆さんに手術をしているわけです。管理が悪い、という言い方はちょっと失礼ですね。管理の仕方が間違えているとか、そういうことによって感染が起こることはあり得ます。多くはここに出ています。歯、口腔、呼吸器、消化器、泌尿生殖器などの処置や手術。そういうところから菌血症になってしまえば、容易に人工弁に感染が起こります。
何かというと、全部、人間の体の外界との入り口です。歯、口腔、呼吸器、消化器、泌尿生殖器。外と触れているところに何か問題があると、常にそういうところに感染があれば菌がいつでも入りやすい状態になっている。これを怠ってしまうと、人工弁の患者さんは感染になる可能性があるんですよということです。人工弁が入っている人は感染性心内膜炎という、心臓に感染が起こるというもののハイリスク患者さんとしても対象とすべきだといわれています。
必ず処置前に適切な抗生物質を予防的に投与することが推進されています。何の抗生物質を投与すればいいのかということは、原因菌を知らなきゃいけないわけです。入り口のところ、歯とか、口腔とか、呼吸器、食道とちょっと上のほうです。上のほうは原因菌が溶連菌(溶血性連鎖球菌)です。下のほうは消化器、泌尿生殖器は腸球菌、いわゆる大腸菌です。こういうものが原因になっているらしいので、それに合わせた抗生物質を選択すべきだといわれています。
具体的には歯の治療や処置をするためには、サワシリンなんて聞いたことがあるかもしれません。のど風邪を引くとサワシリンをもらったりします。普段の町のお医者さんで普通に持っているお薬です。通常量は1錠が250ミリ。処置の前に投与するのが成人2グラムです。ということは8錠、がばっと手につかんで、ぱくっと口に入れなければ効果が出ないみたいです。このぐらい、入り口のところの処置。菌が体の中に入る可能性があるらしくて、処置1時間前に飲みなさいと言われています。ほんとか、うそか。いやそんなことないよ、と歯医者さんがみな言います。そんなこと起こったことなんかないよと。起こってしまったらとんでもないことになるわけです。
この間、ミシガンから来た循環器内科のバック先生の講演で、アモクシリンという薬は、アメリカのドルで日本円に換算すると、2グラム分で170円だそうです。170円で命が救われればいいじゃないですか。2グラムなんか当然出せないんで保険適用外です。早くこういうことが認知されて、歯医者さんご自身で処方してくださるようになると安全に歯の治療もできるようになるかもしれません。今、そういう検討はされているみたいです。
もしも経口投与ができない場合には、アンピシリン(ABPC)というお薬。これはやはり2グラムを点滴静注で入れることで、30分前にやります。忘れちゃったらどうしようと。もう駄目だ、私は忘れちゃった。歯を治療しちゃった、もう遅い、弁に感染する、と思わないでいいみたいです。今、出ているのがアメリカの心臓病学会のほうの勧告です。ヨーロッパのほか、今年になって出た勧告では2時間後まで間に合うというんです。
だから忘れて帰って、うーんと思っても、僕はやっぱり飲んでおいたほうがいいと思います。2グラム飲むかどうかわかりませんが、ついこの間、僕は歯医者さんに行って治療しましたけれども、あわてて引き出しの中を探して抗生物質を飲みました(笑)。別にこれは人工弁に限った話じゃないんです。歯の治療をやったときには、僕らは正常な弁でも、もしかしたら自分の弁がちょっと形がおかしいかもしれないじゃないですか。だから薬は使ったほうがいいということで、アレルギーとかそういうものがないのであれば、できれば予防投与をお勧めしています。
消化管も大体、投与のほうは同じです。消化管の場合には、ゲンタマイシンとか合剤を2種類ぐらい併用して使うみたいです。これは要するに菌の感受性が違って、ばい菌が上は溶連菌、下は大腸菌ということで、大腸菌に有効なお薬の使い方になるみたいです。これはご自身で判断する話じゃなくて、こういう知識を皆さんに持っていてもらいながら、主治医の先生と相談しながら、一つ一つ治療するということが重要です。今、診ていただいている先生に相談するもよし、それから歯医者さんに一言言うもよし、必ずそれはやったほうがいいと思います。これはご自分を守る方法だと思います。
どうやって暮らしたらいいか 食事と運動・サプリメント
さあ、最後になりますが、実際にどうやって暮らしたらいいかとまとめてみました。食事とか、運動とか、その他という形で書いてあります。まず栄養を考えたバランスのよい食事をとりましょう。要するにワーファリンのコントロールの問題もあります。ビタミンKの摂取量の問題もあります。抗凝固療法というのは食事のこと。それからメタボリックシンドローム、脂のこと、コレステロールのこと、みんな考えなきゃいけないんで、結局食事というのが一番最初に来るわけです。ちゃんとした食生活をとるということ。それから食事による腸内環境、消化管の環境を大切にするということも重要です。
下痢をしたり、胃を荒らしたり、刺激物の多いものばかりをとっていつも胃が痛いと言っているような人は消化管の環境が悪いですから。菌はどこからやってくるかというと、体と外界との接触するところです。入り口に菌がやってくると菌が入りますので、そこを荒らさない、壊さないということが重要です。ワーファリンが必要な方は、もうあえて言うまでもないですが、納豆、クロレラ、青汁、こういうものは摂取の制限がありますので先生に相談しましょう。
それから摂取カロリーや水分、塩分の量は、心臓の機能あっての人工弁ですから、心臓の調子に見合ったものをちゃんと管理する。そして生活習慣病のある方は、その治療食をまず基本としましょうということです。サプリメントの摂取には注意が必要です、と書いてあります。今はいろんなサプリメントがあります。最近、「あるある大辞典」がなくなってくれて、ほんとに助かってます(笑)。一時期はサプリメントがわっと出ると、一気にわっとそちらに行くじゃないですか。悪いと言ってるわけじゃないんですけれども、それによってワーファリンのコントロールが乱れている方が実際にいらっしゃいました。
ここに書かれている青汁は、昔は実は「駄目だ」とだれも言ってなかったんです。僕らが大学にいた15年ぐらい前に、青汁が世の中で売られるようになってきて、ビタミンKがどれだけ入ってるかとだれも量ってなかったんです。エーザイというワーファリンの会社もそれを知らなかったんです。何も勧告がなかったころに青汁を飲み始めた人が軒並みワーファリンのコントロールが悪くなって、これは大変だ、何かが起こってると調べてみたら、とんでもない、当たり前の話ですけど、ビタミンKだらけです。ですから、それは控えてくださいという話になって今は常識になりました。
サプリメントが青汁と実際には一致するかどうかは別として、先ほどカルシウムが生体弁に沈着すると硬くなるという話をしました。これは欧米だと思ってください。生体弁の耐久性を弱めるとされているのでカルシウム摂取に制限があります。ただ、日本人はカルシウムをとる習慣がもともと、あんまりないんです。欧米は乳製品をたくさんとりますから、カルシウムが非常に豊富です。日本人は栄養素の中でカルシウムだけが唯一足りていない。今もまだ変わらない。ですから必要以上にとるのはやめましょう。決してとらないで、と言っているわけではないので注意をしてください。
アルコールは飲み過ぎに注意。それは皆さん、ちゃんとね。気をつけてください(笑)。それから運動です。運動はお医者さんの指示に従って運動レベルを少しずつ高めていきましょう。これは急性期の話です。プログラムに従った適度な運動は心臓の負担を軽減して、ライフスタイルを維持するためにも重要です。スポーツを新たに始めるとき、特に危険なスポーツは注意をしてください。
それから歯の治療、外科治療はさっきお話しした内容です。外科手術や検査を受ける際には、感染出血による合併症を防ぐために手術を受けられた方は必ず担当医に伝えてください。それは外科手術を受ける先生に伝え、主治医に伝え、両方に伝える必要があると思っています。旅行とか日常と異なった生活サイクルになるときには可能な限り、通常の食事、運動、睡眠に心がけましょう。せっかくこういうところに来たんだからこれを食べていかなきゃとわーっと食べると、帰ってきたときにとんでもないことになってしまいます。それはちょっと気をつけてください。
災害時に備え1週間分の内服薬を常備しょう
それからつけ足しです。災害時になると内服薬が足りなくなる事態を想定して、常に1週間分の内服薬を手持ちのストックとして常備しましょう。地震はいつ来るかわかりませんよ。大和成和病院がつぶれてなくなっているかもしれません。交通手段がないなんてことは当然あるわけです。今このご時世ですから、どんな大震災が来ても1週間たてば復旧すると思いますから、その間をしのげるお薬は最低でもご自身で確保しておいていただきたいと思います。以上です。
今日お話しした内容は、ほとんど外来で話をしている内容ばかりです。結局こういうことをやっているのが僕らの仕事だと思っていますので、どこへ行ってもこんな話ばかりです。そうやって患者さんとつき合うことが自分の仕事だとも思っています。またわからないことがありましたら、外来に来て何なりとお話をしてください。ご清聴をありがとうございました。(拍手)
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