皆さん、こんにちは。この会でいつも言うことですが、皆さんの元気な顔を見て僕自身が元気をいただくということが、この会に出席させていただく一番の目的です。本当に自分本位な目的で申し訳ないのですけれども…。しかし最近は忙しくて疲れを感じている暇がないぐらいです。
歩いてくるときもそうだったのですが、入ってきますと、体が斜めになっております。何だか知らないけど腰が痛くなりまして…。駅で電車に乗り遅れそうになって走ったら、ぽきっとこうなっちゃったんです。これは忙しいというよりも、単にそういう年なのかなと思っております。
本当にありがたいことに、病院にはたくさんの患者さんに来ていただきまして、毎日が手術です。また土曜日には札幌に行って手術をさせていただいたり、テレビの取材もひっきりなしに入るようになってまいりました。
テレビ東京で11月19日に2時間スペシャルがあります
宣伝ではありますが、11月19日の月曜日に、以前私がテレビ東京でずっとレギュラーで出ていました「主治医が見つかる診療所」という番組の2時間スペシャルをやります。心臓病がテーマで狭心症、心筋梗塞という話を2時間やります。8時から9時54分までです。
司会は草野仁さんでいつもと同じです。あと東野幸治さん。ゲストはアグネス・チャンさん、石田純一さんが出演されます。2時間ずっと狭心症と心筋梗塞の話ばかりです。皆さんの中には心臓弁膜症や大動脈の病気の方もいらっしゃいますが、とにかく心筋梗塞、狭心症の話ばかりということです。治療もさることながら、予防の話もあります。
100人の方にアンケート調査をやりました
この番組を見ていただくとよくわかりますが、100人の方に――この中にも何人もいらっしゃると思いますが、ご協力いただきましてアンケート調査をやりました。最初の症状はばらばらです。全く症状がないという方もいらっしゃるし、肩が凝る、首が痛い、のどが詰まる、おなかが痛い、もうさまざまです。ですからこれといって前兆というのはなかなかなかったりするわけです。
再発という観点からすると、前と同じ症状だったということは一つの傾向として確実に言えるというところがあったのかなと思います。しかし治療を行いまして、先ほど吉村さんが、再発という不安を抱えているとおっしゃいましたが、番組の中で言わせていただいて放送されるかどうかわかりませんが、再発するということはまずその大前提として1回目の発作で治っているわけですね。1回目の発作で死んでいる人、生涯で初めての心臓発作で死んだ人、これは私の祖父も祖母もそうですが、そういう状況と比べるとだいぶましではないかということです。
再発に不安だということで恐れおののくとあまりイメージはよくないのですが、そういう状況とは異なって今生きている自分というのもあって、そうもいえるのかな、なんて、禅問答のような、頓知のような話をさせていただきましたが、それは放送されないかもしれませんけどね(笑)。
東京に行ったせいかいろいろなところからお呼びがかかります
収録が土曜日の昼12時に行きまして、リハーサルだ、何だとやりまして、結局終わったのが11時でした。テレビ東京のスタジオに11時間もいたということです。先週の土曜日ですが、ああいう番組というのは本当に大変なことというか、一生懸命な労力が結構かかっているんです。前にもお話ししたと思いますが、最近はバラエティでひな壇に並んで、いわゆるリアクション芸人が並んでやっているものばかりです。何だこれ、またかよ、みたいな。あれはつくるほうはつくるほうでなかなか大変なんですね(笑)。1時間流すのでも、3時間撮ったり、いろんなやり直しもあったりということです。
それがどういう意味があるかどうかは別として、とにかく11月19日の月曜日です。このテレビ東京の番組はきっと大変ためになると思います。今日もご参加いただいていますが、松本さん、横澤さんにはその中でビデオ出演をお願いしました。発症の最初に起こったときの状況というのは大変リアルでした。特に松本さんは奥さんが大変美人だったので、みんなスタジオではそっちばかり話題になっていました。(笑)
日曜日は河合塾の予備校というか、現役の高校1年生、2年生にお話しさせていただく機会を得たり、今週の土曜日は多分、手術の後、「TVタックル」の収録が予定されています。いろんなところにお呼びいただき、いろんな方にお会いしているわけです。また、これは全然関係ない話ですが、選挙は12月中にしますみたいなことを、とある本人から聞いたという話もあったりして、それはまあここだけの話にします。そんなこともあって、これは東京に行ったせいかどうなのかわからないのですが、最近は本当にいろんなところからお呼びがかかっています。
病気の予防、心筋梗塞の予防は炭水化物を減らすこと
先ほどのテレビ番組「主治医が見つかる診療所」でも強調させていただいたのですが、病気の予防、心筋梗塞の予防ということで、一番有効なのは炭水化物を減らすことだと私自身も悟りまして、その信者になりました。現在「炭水化物ダイエット」というのをやっております。昔から僕は非常に単純で三日坊主ではありますが、これだけは1カ月と2週間ぐらい続いております。体重が一気に減りました。中性脂肪がやはり減ったのです。これは大変なまじめな話です。
僕も一応医者ですから、目標は中性脂肪を減らそうということです。今現在、糖尿病の原因も、中性脂肪、トリグリセリドと言われている物質です。プラス、血管を阻害する悪玉のLDLコレステロールです。LDLのコレステロールには幾つかの種類があって、タンパク質とくっついた脂肪です。適当な重さの範疇で、HDL、LDLと分けています。そのLDLの中でもさらにはスモールデンスLDLというのが超悪玉といわれているものです。これを増加させ、善玉と言われているHDLを低下させる。それが中性脂肪であるという意見、あるいは学説とかそういう主張がいろんなところからなされています。内科の先生、あるいは細胞生化学をやっている先生からもそういう見解になっていまして、とにかく中性脂肪を減らそうということです。
中性脂肪を上げるのはご飯、下げるにはご飯を減らすこと
さらにもう一つ、「中性脂肪」という言葉です。中性脂肪は脂肪だから、食べたものに反映されると、皆さん、少し知識のある方はお考えだと思います。実はこれは脂肪ではないのです。例えば前の日に卵を食べたら上がる。実はそれが違ったのです。中性脂肪を上げるのはご飯なのです。中性脂肪を下げるにはご飯を食べない。パン、ご飯、おそばは炭水化物ですから、それをとらないと中性脂肪は一気に下がります。たまたま僕で調べて236だったのが、たったの1週間で66になりました。その後ずっとそのままです。これは本当に驚異、驚異です。
周りの人に聞きますと、お医者さんでも、先ほどの番組の待合室で話していると、「えっ、先生もやっているの」とか言って医者の間でもはやっています。番組出演者はみんな知っていますね、ほんとに多くのお医者さんもやっていますから。
でもいろんなことが言われています。糖尿病学会はあまりそれをやると危ないと言っています。肝臓に負担がかかるということですね。むしろ糖を使わないといけない。皆さんご存じのように、糖と脂肪、アミノ酸というのがあります。糖を使わないと糖が足りない部分、アミノ酸と脂肪から肝臓が一生懸命分解して、ケトン体というのを持ってきて、それをエネルギーに使うわけです。そのときに肝臓に負担がかかるのではないかと言われているわけです。
だからあまりやり過ぎるとよくないと思うし、また炭水化物というのはそこら辺にいっぱいありますから、絶対にとらないということは無理です。だから減らすだけでいいんです。必ず中性脂肪が減りますよ。中性脂肪が減るとすべての血液の値、つまり善玉のHDLコレステロールが上がり、悪玉のLDLが下がるといわれています。
私自身の体で調べたら如実に証明されました
僕という54歳の体で調べたところ、それは如実に、即座に証明されていることがあったということで、皆さん、気にとどめていただければありがたいと思います。何度も強調します。「脂肪を」と書いてあると、脂肪のとり過ぎはよくないんだと思うわけですが、実はそうではない。脂肪じゃなくて炭水化物です。日本の昔の食べ物だといいんだと思われがちですが、もちを食べて、ご飯を食べて、日本酒を飲んで、それで健康かというと、案外そうでもないよということが言われております。皆さん、今日は本当にまじめに医者みたいなことを言っておりますが(笑)、少しお気にとどめていただければと思ったりしています。
東京ハートセンターに移って2年になります
さて、こういうところでお話をするということで、いつも頭の中がぐるぐる巡って、どんな話をしようかなと考えているわけですが、今日は、後で僕の話の終わりに紹介致しますが、リハビリの徳田雅直君と看護師長の深津より子さん、この2人が見えていますので挨拶していただきます。第2部で皆さんのグループ討論が行われますが。このグループ討論にも2人は参加するということです。
今日、皆さんにお配りしましたこの資料をぜひ見ていただきたいのですが、東京ハートセンターの宣伝ということで持ってきました。このパンフレット自体が7月にできました。病院は6年ほど前にできています。僕がこちらに神奈川の病院から赴任して、もうそろそろ2年ということです。それでこうやって新たなパンフレットをつくらせていただきました。
冒頭の最初のところの一番大きいのが僕です。向かって右が細川丈志先生。細川先生は湘南鎌倉病院で一緒でした。山田さんは覚えていらっしゃるかもしれませんね。湘南鎌倉で手術をさせていただきましたから。吉村さんも最初のときの手術です。そのときにこの細川先生がいたはずです。こういった縁で僕自身、そして僕以外の11名が神奈川からこの病院に移ったわけです。
いろいろ紹介があります。この中で僕の一番の自慢はやっぱり一緒についてきた10ページの奥山浩先生です。彼は非常に寡黙に着々と手術をこなす心臓外科医です。11ページに徳田君、12ページに深津さんが載っておりまして、東京ハートセンターを一緒に支えていただいているということです。この上のほうにもきれいどころの看護師さんがたくさん載っております。指名料はだいぶ高いですけれども(笑)、ぜひ皆さんにも来ていただければと思っております。最後のほうに地図もありますので、検査とか何かありましたら、いつでもご用命ください。いつでもお待ちしています。
中日新聞にエッセー「暮らすめいと」を連載しています
それから、こちらの「暮らすめいと」という記事です。これは以前お話ししたかもわかりません。たしかこの会場には中日新聞の方もいらっしゃる、東京新聞ですね。同じ会社です。巨人に敗れまして非常に残念な思いをされていらっしゃると思います。僕も本当に残念です。この1月から書かせていただいているエッセーです。自画自賛ですがなかなか評判がよろしくて、字数が665字で大変に難しい量です。1200字ぐらいだと非常に楽に書けるのですが、665字に一つのネタをまとめるというのはなかなか難しいのですが、まあそれなりに、こういうふうに連載を続けさせていただいています。いろんなことを書かせていただいて、いろんなご反響をいただいたり、お教えいただいたりしております。
いつも大体新しい本を出すとお配りしたりするんですが、今日はあまりネタがないということで、これをお持ちして皆さんにお配りしようと思った次第です。
三毒(貪欲・瞋恚・愚痴)は病気の原因
この中に、「三毒」という話があります。三つの毒。これは貪欲、欲望が強いという人の心。それから自分勝手で自分本位なわがまま瞋恚(しんい)。それから他人がねたましいということで愚痴。「愚痴を言う」と言いますけれど、ねたましい気持ちの愚痴です。ちょうどこの下から2段目の行の真ん中ぐらいに書いてあります。
この三毒というのは、ここには書いておりませんでしたが、皆さんご存じの方もいらっしゃると思いますが、節分のときの3匹の鬼です。「鬼は外、福は内」のこの鬼という実態がこの三毒、三つの毒です。これを節分では豆をまいて外に追い出す、あるいは自分の体の中から追い出すという習わしということであって、この三毒というのは常に自分の中にいるものだということです。
それが怒り、暴力の原因になるということがここに書かれております。これは病気の原因――今、コレステロールがどうのこうのと言いましたが、そんなことよりも、もっともっと本当の病気の原因になるんですよということです。
中国漢の後期の名医・華佗という医者の話
最後に中国古来の華佗(カダ)という医者の話です。漢の後期、『三国志』の時代です。魏の曹操の侍医にもなったといわれている華佗という名医がいます。麻酔法を世界で初めてつくったといわれている伝説の人で、その人の逸話です。すごく調子の悪い人を無理やり怒らせて、げぼっと吐いちゃったらすごく元気になったという話です。三毒を体の中から、怒らせることで吐き出させたんだろうという逸話が、中国にはあったりするんですね。だから中国というのは今でもそういうことをやっているのかなというふうな、皮肉がたっぷりこめられております。この皮肉に対しては大変な賛辞をいただきました。
中国で今、起こっていること、皆さん中国11億人がああいうことを考えているわけでは決してないわけです。まあそれなりに時事的な上っ面で見える、ああいうふうに見えるだけといえるかもしれませんけれども、そういったところにも一矢報いたというと変ですけれど、別にやり合っているわけではないのですが…。
しかし、皆さんご存じのように、僕自身は非常に漢籍と申しましょうか、中国の古い文化、あるいは今の文化、あるいは考え方というのを大変崇拝している人間であります。であるがゆえに、ここにあまり書かれていないですけれども、中国あるいはお隣の韓国にはいろんな日本に対する感情があったりします。そういう状況に対して、同じ土俵で、同じレベルで議論せよということです。
さて、今は経済的にも大変ですが、この医療制度もいろいろ問題がありますが、こんなに素晴らしい国はないわけです。また平和でもある。以前もお話ししましたけれども、東京駅から「のぞみ」に乗って京都駅に着くと、予定時刻から30秒も遅れないという驚異的な、およそあり得ない、信じられない、そういう精緻な、あるいは誠実な、そういう人たちがこの国を支えているというのであれば、そこに居をなして生活する我々というのは、それなりの本当に世界人類が今まで達成でき得なかったぐらいの素晴らしい社会だと思います。
当然、人間の心も大きく広く寛大であり、また良識を持たないといけない。それを示すという意味で、ただ、ただ、いろいろ言われても我慢するとかというわけではなくて、じっくりとそういったものを見守るということが必要で、かえってそれが恩返しになる。中国から我々はいろんなことを学び、本当に素晴らしい文化の教えというものを、いまだに感じるわけです。
ここにあります「三毒」。これも中国から習った知恵であります。仏教もそうです。もちろんインドで発祥したわけですが、しかし我々が中国を介して、あるいは中国の発想、思想というもので我々が学んでいるものなわけです。だから直接学んだわけではない。ましてや日本が独自につくったものではないわけです。
そういうことからすると、本当に中国を皆さんで、より一層礼賛し、崇拝して、中国思想に基づいて冷静に対応しようではないかということをいろいろなところで言っているわけです。一部の雑誌が中国は嫌だと言っていますけど、今後は絶対やめてほしいなと思ったりしております。
漢詩「庭院深々」という歌を唄います
ここにもう一枚、紙があります。これは印刷を間違えたので、縦に半切れていますけれども、横のこれが正しいものです。いつも歌を歌わせていただいて、今度は詩吟と言ったんですけど、大貫先生という大家がいらっしゃるので、その前で歌うのは僣越で、詩吟はやめておきます。今、言いました中国を礼賛しておりますので、この中国語を一生懸命、本流の北京語でお話しできるだろうかということです。
しかし、この歌はなかなか感慨深い歌であります。この最初のまくらもほとんど漢詩の、当たり前ですが、中国の歌ですから漢詩です。5行目のところに、「這天上人間 可能再聚」とある、これは集まるという古い字です。皆さん、今日お越しの方は古い字もご存じだと思いますので、大体皆さんはすぐに読めると思うんです。あるいは一番最後の「不如」、それから「歸去」は帰り去るです。帰り去るごときにしかずという、そういうふうな読み方になると思います。これは今の文章でおわかりかもわかりません。
3行目のところの「兩個世界」とあります。これはこの世と天上、あの世ということです。これは要するに亡くなった人間というのは決して別れるわけではない、また天上で再会できると、そういうものであるという内容をとうとうと歌う歌であります。一応どんな節かというのをちらりと披露してみます。うまく歌えるかどうかわかりませんけれども歌わせていただきます。
庭院深々
多少的往事 己難追憶
多少的恩怨 己隨風而逝
兩個世界 幾許癡迷
幾載離散 欲訴相思
這天上人間 可能再聚
聽那杜鵑 在林中輕啼
不如歸去 不如歸去
?・・・ 不如歸去
という歌です。どうもありがとうございました。(拍手)
亡くなった方はどこかに消えるのではなく、我々の心に残る
本当に感慨深い、先ほど吉村さんからのご紹介にもありましたように、本当にずっと考心会を支えていただき、また考心会というわけではなく、僕自身の臨床の現場で長きにわたって支えていただきましたお二人が、本当に突然あっという間に亡くなられました。特に黄地さんの場合はお家のお庭でそのまま亡くなられたということで、本当に驚きました。黄地さんが亡くなられた一報を聞きましたとき、それはきっと息子さんじゃないかと思ったぐらいです。息子さんは文部科学省の方でいらっしゃるんですが、大変に失礼な話ですけれど、それぐらい信じられませんでした。
しかし、長年この会に出ておりますと、もちろん皆さんは患者さんということでもありますが、先ほど会場にお見えいただきました安河内さんをご紹介いただいた鈴木紳先生という循環器内科の名医といわれる先生ですが、この方も早世されております。それから忘れられないのは、皆さんご記憶があると思いますが古川知子さんです。彼女も亡くなられました。亡くなった人の話ばかりしていると本当に暗く沈んでしまいます。しかし、この歌にあるように、決して亡くなった方はどこかへ消えてしまったわけではなくて、我々の心に、すごいたくさんの人の心にしっかりと残っているわけです。ですから必ず会えると思います。
くしくも、僕も古川さんが亡くなられる3日ほど前に病室でお会いしたのですが…必ず会える、きっときっとすぐにまた会えますよということで彼女とお別れしたのを覚えています。そういうことで、亡くなった、亡くなったと沈み込んではいけないわけで、我々が元気にしていれば必ず会えます。元気にしているというのはどういうことかと言いますと、死んでも元気だということです。我々はいつかは死ぬわけです。
死んだ後もずっと元気だということってあり得ると思います? なんて皆さん思ってらっしゃると思いますが、あまり見ない映画かもしれないですが、「さや侍」というのがありました。これは松本人志という大阪の漫才師の方が作った映画です。この方が今は「ガキの使いやあらへんで!」とかいうバラエティ番組をずっとやっています。「大日本人」とか映画もつくっています。なかなか名画だったと思います。
「さや侍」はものすごい名画だったです。一番最後の部分に出てきます。「お父さんは元気です。お父さんは死にます。でもお父さんは元気です。生きているときよりも元気です」という手紙を子供に残すのです。いかに我々は元気に生きるか、そして元気で健康で頑張って、楽しく朗らかに死んでいけるかということなのかなと思っております。
先ほどの吉村さんのお話はちょっと暗かったので、フォローというのではないですけど、我々はいつ死ぬかわからないのは当然です。昔から生まれたら決まっているわけです。そうやって、死ぬのが怖いなと言うんじゃなくて、死んでも元気だという心づもりで、死ぬって何だ、だれでも死ぬじゃないか、今まで死ねなかったやつはいないんだからと。これはお釈迦さんの言った言葉であります。そういうつもりで皆さんお過ごしいただければと思います。
ということで、ちょうど時間に近いのではないかと思います。では先ほど言いました、深津さんと徳田君、前へ出てきて下さい。(拍手)では1人5分ずつ。
健康寿命を延ばすにはタンパク質+筋トレ
年齢が重なるにつれ筋肉が減っていく、これを予防しましょう
徳田先生 皆さん、ただいまご紹介にあずかりましたリハビリ科の徳田と申します。南淵先生の腰を、この考心会が終わりましたら治さないといけないなと思っております。
今年の2月に天皇陛下がバイパス手術をお受けになりまして、南淵先生が多くのテレビ番組に出演され、非常にわかりやすい話で皆さんに心臓のバイパス手術を解説なさったのは記憶に新しいと思います。
私自身もその後の心臓リハビリテーションということで、各テレビ、メディアの方に取り上げられました。テレビに出ると一番何が変わるかといいますと、かなり親戚が増えました。各地で月1回ぐらい、心臓リハビリテーションの普及活動で講演に行くんですが、いろんな方から手紙をもらったり、あなたの知り合いがどうだこうだということで、たくさんそういったご支援をいただいております。
時間が少ないので、一つだけ大事なお話をしたいと思います。それは先ほど先生がおっしゃったように、元気で長く生きるためにどうするかということです。これはテレビでもそれから新聞でも注目されています。「健康寿命」という言葉です。男性70歳、女性73歳が大体ベストの健康寿命というか、知識も含めて、身体的なものも含めてそういった年代を定めております。
その引き上げをどうするかということで、我々は一つ、社会に向けてメッセージがあります。それはサルコペニア(Sarcopenia)と言うキーワード。サルコ(Sarco)というのはフランス語で筋肉という言い方をします。ペニア(penia)というのは減少症。年齢が重なるにつれて筋肉が減っていくこと、これをサルコペニアと言います。これを予防しないと、例えば腰が痛くなったり、ひざが痛くなったり、それから動けなくなったり、要するに健康寿命が損なわれます。
そのサルコペニア、加齢性の筋肉を減少するのを防ぐために何をするか。まずタンパク質をとります。先生は炭水化物でダイエットしました。それは非常によかったんですけど、多分筋肉も減少したと思います。だから腰が痛くなっています。――本当ですよ。
足痛いな、腰痛いなというのは、実は筋肉が細くなっていって屋台骨が崩れちゃうんです。だから筋肉トレーニングをすればいいというのが今までの考えだったんですが、次の考えが重要になります。まず一番最初に必要なのは筋肉のもととなる栄養素、タンパク質を摂取すること。わかりやすく言うと鶏肉等を食べること。こういったものを週に1回以上、必ずとった後に筋肉トレーニングを2日に1回行う。そういったことが今、リハビリテーションの世界で言われております。こういうメッセージを皆さんと共有していくことが大切と考えています。
南淵先生は今から筋肉トレーニングを一緒にしまして、もっと元気に、そして皆さまの健康寿命も延ばしていこうかなと考えておりますので、今後ともご指導をよろしくお願いします。(拍手)
南淵先生 今、僕の腰痛を一刀両断に言われてしまいました。(笑)歌ったらちょっと治りました。やっぱりいいんですね、バランスというかそういうことじゃないかと思います。
それからあと、さっき言い忘れました。炭水化物はとらないけど、焼き肉は解禁したんです。そうなんです。焼き肉食べても中性脂肪は66です。すごいです。では深津さん、お願いします。(拍手)
毎回、皆さまの元気な顔に会えるのがとても楽しみです
深津師長 皆さん、こんにちは。先生、「挨拶あるよ」と一言言ってくださればいいのに……。徳田さんが一生懸命お話していただいたので、私は本当にご挨拶だけさせていただきます。今日は静岡から来られたという方もいまして、先ほどお声をかけていただいて、遠いところを本当にようこそおいでくださいました。私は考心会の皆さまの元気なお顔に会えるのを毎回毎回すごく楽しみにしています。
今日も病院の東京ハートセンターに8時に行って8時15分から病院回診をして、その後、先生の車で来たんです。いつもは6時40分の相鉄線に乗って横浜に出て、横浜から湘南新宿ラインに乗って通っています。何でこんな遠いところに来たんだろうと、3日に1回は先生に「もう嫌だ、もう嫌だ」と、2年になろうとしています。やせるんじゃないかと思ったんですけど、ごらんのように全然やせなくて太ったんじゃないとか言われるぐらいです。
東京ハートセンターは交通の便もよく、循環器内科の先生もすごいし、外科のほうの先生もすごいしというところで、本当に勢いづいている病院です。考心会の方々、皆さんから、患者さんが患者さんをご紹介いただいているというところで、東京ハートセンターは大変繁盛させてもらっています。今後とも遠慮なさらずにお電話ください。これからもよろしくお願い致します。
ありがとうございました。(拍手)
南淵先生 深津さんは奄美大島の出身で電車なんかないんですよね。それで東京に来たということです。深津さんはいつも言っています。電車に乗った人が、どうして電車が出発する方向がわかるんだろう、すごいなといまだに言っています。電車に乗るのが恐怖という、そういう方でいらっしゃいまして、本当にいつも頑張っていただいています。何かお粗末なお話しでしたけれども、どうもご清聴をありがとうございました。(拍手)
南淵先生の講演
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講演に耳を傾ける会員
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徳田先生の講演
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