グループ討論終了後、各グループの代表8人の方と南淵先生、折茂先生を交えて「パネル討論」を行いました。その概要を紹介いたします。
南淵先生 皆さん、お疲れさまです。僕もグループ討論をちらちらと見ていたのですが、非常に盛り上がっておられました。皆さん、自分自身のご体験をお話になられたということですが、最初に僕が申し上げましたように、皆さんそれぞれに大変な経験をされているわけです。おれはすごいんだぞ、なんてことを自慢する人もいたかもしれません。実はみんな本当にイーブンに対等に自慢できる人達です。とんでもないような目に遭ったり、不安があったり、あるいはそれを乗り越え、あるいは悩んでらっしゃるところもあると、皆さん同じなわけですね。
そこで各グループはどういうふうなお話をしていただいたかということを簡単にお一人ずつお話ししていただきたいと思います。
バイパス7本の方もいる
Aさん 私のほうは再狭窄ということで第1グループと仮にさせていただきます。一人一人、自分がどういう症状で何本やったかという自慢合戦をさせていただきました(笑)。
私は今から11年前に南淵先生に手術をしていただきまして実は5本やっているんです。私は今まで5本で負けたことはなかったんですが、今日は第1グループには7本という方がいらっしゃいました。そういう話をしているうちに何と1時間たってしまいました。(笑)
南淵先生 皆さんにいつも説明しています。2本以上はただですから(笑)。3本、4本、5本とか。ただでバイパスしたということで(笑)。
Aさん 私は南淵先生の手術が終わって顔が引きつっていたんだと思うんです。バイパスは3本も5本も料金は同じだから、2本はサービスしておいたよということで、私は5本だそうでございます(笑)。
南淵先生 では次の方。
半数の人が足がしびれる
Bさん 私どものグループはほとんど足がしびれるという人が多かったんです。いろいろ皆さんの話を聞くと、狭窄の人と、ほかに糖尿病とかいろいろな病気から来て、薬からも来ている関係もあるのかと。これがちょっと気になりましてね。みんな半数が足がしびれるということです。後で説明をいただきたいと思っています。
南淵先生 説明はないですよ(笑)。申し訳ないけど、こちらとしてはおわびするしかないですね。
Bさん ほとんどの人が5分歩けるか、2分歩けるかという。
南淵先生 それはまた違う状況かもわからないですね。心臓とかじゃなくて。
Bさん そうすると心臓から来ているというわけじゃないわけですね。
南淵先生 ええ。どうもありがとうございました。
ワーファリンの影響、生体弁の寿命はどのくらいか?
Cさん 私どもは弁形成と弁置換という項目でした。まず一つ目にワーファリンの影響という形で、ワーファリンを飲んでいるために打撲のときに大きなあざができます。何か重いものを持っても手のひらにあざができる、出血が止まらないという話があったんです。やっぱりワーファリンの影響ですかというのが一つ目の疑問です。
2番目は生体弁の寿命。人工弁は永遠にワーファリンを飲まなくちゃいけない。何かけがしたときとか、ほかに手術があったときには出血がなかなか止まらない。一方、牛の生体弁のほうは15年保証します、15年はセーフですというお話がありまして、私は牛のほうを選択しました。もうすでに6年たっているんです。あと9年後にはどうなんだろうと。9年後は82歳です。80になったら男の平均に少しプラスになっていますから、私自身は今の時点では心臓の手術はもういいや、さよならと思っています。現時点でやはり15年なのかなというのが2番目の疑問です。
あと熱中症にかかった方がおりました。熱中症は大和成和病院じゃないところにかかっているんですが、熱中症によって心臓が悪くなったんじゃないかという話が出ました。熱中症と心臓病の相関関係はあるのでしょうか。
最後4番目。心臓手術によって起こりやすい合併症というのはどんなものがあるでしょうか。
南淵先生 この場で答えらしきものを差し上げます。生体弁が15年ということで説明はしています。同様にうちの病院で生体弁が駄目になったからということでやり直した人はいないのです。だから15年以上もつだろうと思います。実際のところはわかりませんよ、どうなるかというのはほんとに(笑)。
Cさん それは実績がないということでしょうか。
南淵先生 要するに事例がないわけです。15年たってないわけじゃない。15年たった人もいっぱいいるんです。15年たっても取り替えなきゃいけないという必要に迫られた人はいないということです。
Cさん ということは15年以上、20年も25年ももつというふうに思っていいんでしょうか(笑)。
南淵先生 そうです。実際に25年とか30年近くもっている方もいらっしゃいます。ですからやはり折茂先生の話にもなると思いますが、動脈硬化的な因子です。カルシウムなんか、透析をやられるとやはり石がこびりついてくる、石灰化してくるということです。そうでない場合は15年以上もつんじゃないかなと思います。ただ、今は全然問題なく動いている状況があと9年でどうなるんだろうかというのは、これは心配するのは勝手ですよ(笑)。言葉は悪いですけれども、何を説明しようが何を事例で示そうが、はっきり言って意味ないんです。これは理屈じゃないですね。大変申し訳ないですけれどそれはもうしようがない。ほかにもあと9年もたない部分があるんじゃないか。そっちのほうをもっと心配したほうがいいんじゃないかなという気がしないでもないです。
Cさん でも30年の事例があるということでうんと安心しました。
南淵先生 ワーファリンですね。ぽんと打ったときにあざができるという傾向はやっぱりあります。言うのを忘れていましたけど、『読売新聞』ホームページの「医療と介護」を開いていただくと、看護師さんの写真が出てきて医者の質問コーナーがあります。。そこで9月に10回連続で質問に答えました。まだずっと載っています。その中で抗凝固療法の話は三つあります。三つとも同じようなご質問でした。一生懸命に質問に答える形で文章を掲載させていただいています。そこを読んでいただくとありがたいです。
ただ、抗凝固療法ということで人工弁(機械弁)の場合はワーファリンを飲まなきゃいけない。これもワーファリンさえ飲んでいれば大丈夫です。人によってワーファリンが本当に効き過ぎる人というのはあるとは思うんです。出血が止まらないといっても別にそのまま死んじゃったわけじゃなくて、今日はここに来られているわけでしょ(笑)。それは止まったわけですよね。
Cさん はい、そうです。今は出てないと思います。
南淵先生 歯医者さんとかあるいは交通事故でもそういう事例を聞いたことがないです。ワーファリンを飲んでいて人工弁が入って、だから駄目だったというのは聞いたことがない。そうは言います。でも言うから余計みんな心配するんじゃないかなと思います。心配して結果的に安全なんじゃないかな、健康なんじゃないかなという気はします。
熱中症・合併症との関連について
Cさん 大変安心しました。あと熱中症と心臓病の相関です。
南淵先生 熱中症は病名じゃないです。そういう状況、状態を言っているだけです。熱で暑いから干からびちゃって呼んでも答えないという状態が熱中症です。そこにはいろんな理由があるわけです。熱中症って要するに心不全でもそうですけど、我々は普通ちょっと暑くても、ちょっと寒くても、体は普通に持っていこうという力があるわけです。食べ過ぎでも飲み過ぎでも。そういうもとへ戻そう、普通の状況に戻そうというのが駄目になった状態というのがショック状態であるとか意識がなくなるという状態です。それが熱だったというだけの話です。その人にとってもともと持病があったせいもあるだろうし、心臓病でそういうふうになりやすかったということもないわけじゃないでしょう。
ご質問はそういう熱中症みたいなことになって心臓が悪くなるということですよね。それは例えば狭心症で冠動脈が詰まりそうな状況だったら熱中症になると心筋梗塞を起こすでしょうね。それだけ心臓に負担をかけてしまいますから。
Cさん 最後に心臓手術によって起こりやすい合併症というのは。
南淵先生 患者さんをたくさん診ていて一番言われるのは、歯医者に行って歯を治すときどうしたらいいんだというのがあります。まず一つ言えることはいいことですけど、病気されて病院に行ったりして病院のかかり方を皆さんは理解されているわけです。どういうふうに行ってどういうふうにすればいいのかと。普通の人は病院に行ったらどうなるのかなと、その時点で悩んでいる人もいるんです。だから病院の使い方を皆さんご存じだということもあります。特に手術をやられたからということで、本当にほかのいろんな病気になられる可能性はあるわけです、がんも含めて。あと前立腺の病気とか。そういうのは普通の方と変わらないと思います。
運動すると不整脈が心配
Dさん うちのグループは少人数で4人しかいなかったんです。大動脈解離と瘤です。この該当される方がいました。皆さんが日ごろ一番心配しているのはどのぐらい運動したらいいのか。ちょっと運動すると不整脈が心配だとかいろいろな意見が出ました。私に関してはほとんど症状がなくて、歩き始めに胸がちょっと苦しいかなというぐらいで、毎月山も行っていますから大丈夫です。そういう問題が1点出ました。
2点目は私事です。大動脈瘤と弁をやっていますから薬はワーファリンを飲んでいます。鼻の血管が非常に弱いものですから、これから乾燥してくると必ずそこが切れて鼻血が出ます。2時間ぐらいずっと押さえてないとなかなか止まらないのです。鼻の医者に行ってもそれは薬のせいだからということで一向にらちが明きません。心臓の先生に聞いてもそれはちょっとどうにもならないと。解離の人は本当に突然倒れた方で大変な手術だったんですけど、その方もワーファリンを飲んでいるということでした。
南淵先生 皆さん大きな手術ですが、特に大動脈というのは体の芯の部分です。そこのところを大きく取り替えてしまうということで、相当な本当に大きなダメージというか大仕事です、大工事です。ビルの屋台骨の鉄骨をすべて取り替えるみたいな状況です。
しかしその手術の後ということで胸が多少痛いとか、あるいは動かすとどうのこうのと。本当の屋台骨の部分ですから、人間の体はもともとは割かし可動性があるわけです。手術をやってしまうと、よりそこが丈夫になるんです。癒着するんです。丈夫になるということはなかなか動きが減るというところもあったりして、そういうことがあるのかなとは思います。まず再発の心配はないですから、より丈夫にはなっています。
リハビリの専門家でうちの病院に徳田がいます。徳田と相談して柔軟体操をしていただくのもいい。
鼻血が止まらない問題
あとはワーファリンと鼻の出血の話です。鼻の出血というのはワーファリンを飲んでなくてもアスピリンを飲んでなくても起こったりします。耳鼻科に行くと先生にもよります。これはおれに任せとけと言う人もいるでしょうし、何かうるさい患者だなと思うような人もいる。そういう先生とのコミュニケーションです。いい先生だと、じゃあ焼いちゃおうとか、焼いて駄目だったらもう一回やりましょうみたいなことになる。
さっきも言いましたけど、大量に出血することはまずないです。でもおっしゃるとおり、少しずつ出ている。例えば歯からもずっと3日ぐらい止まらないというふうなことで大騒ぎしていたある病院の理事長もいました。うちの理事長です(笑)。うちの理事長は心房細動でワーファリンを飲んでいるんです。そういうことは割かし歯医者さんも、「死にはしない」「適当に押さえてて」みたいな感じになっちゃいますね。
歯医者に行ってもやりようがないです。にじみ出ているから、多分鼻もそうだと思うんです。ぴゅーと出ているんだったら話は別ですが、ちょっとにじむなという程度でしたらあんまりやりようがない。そろそろ止まるんだったらそのままにしといたら、みたいな感じになるんじゃないかと思います。
Dさん 大体どこの耳鼻科に行っても、出ている量が多いんで。
南淵先生 あ、そうですか。
Dさん ええ。処置がなかなかできないのでガーゼを詰めるというだけです。
南淵先生 焼却というので何人も患者さんいますけどね。焼いてもらったという人。
Dさん 2回ほどやったんです。ある程度は効くんですけど、一番乾燥するときというのはまた切れちゃうんです。だから方法としたら、あんまり出たらうちに来ないで総合病院に行ってくれというような先生が多いものですから。
南淵先生 要するにうちに来るなということでしょう。
Dさん そうですね。
南淵先生 いや、それは耳鼻科の先生によると思います、ほんとにね。
Dさん ええ。あるところではあまり詰め過ぎて次の日に腫れちゃって、こんなになっちゃって行かないほうがよかったかなと。
南淵先生 今の話は皆さんに非常に共通することじゃないかなと思います。今は鼻血の例だったですけれども、鼻血じゃなくてもどんなことでも、「あんたは心臓の病気やったんですか。じゃあもっと大きな病院へ行きなさい」とか、あるいは「手術してもらった病院に行きなさい」とか、もう来るなという感じで、歯医者さんなんかもそういう人と、また反対に「ああ、そうですか。じゃあそれだったら私、経験ありますから」ということでしっかりやってもらえる人と、本当に両極端です。
ペースぺーカーと携帯電話の関係
Eさん 私は弁形成と弁置換の第2グループの代表者として上がらせていただきました。一番の大きな話題は生体弁の寿命ということです。これは先ほど先生から30年は大丈夫とお答えいただきました。手術前は全部10何年ぐらいの寿命と言われたかもしれませんが、その件は安心してお尋ねしません。
一つ目はワーファリンの飲用基準といいますか。手術してすぐ1カ月以内にワーファリンを飲まなくなったという人もいれば、私のように生体弁ですが手術後1年たってもまだ2錠毎日飲んでいるような人間もいて、何かこれに基準はあるのかどうかという質問です。
二つ目は薬の後遺症で先ほど鼻血だとかそういうお話が出ていました。我々のグループからは便秘というのと、皮膚が荒れるといいますか、そういったような後遺症がワーファリンやその他のバイアスピリンなんかはあるのかどうかという点。
三つ目はペースメーカーを入れた方が何人かいらっしゃって。これと携帯電話の関係です。実際にペースメーカーを入れている人で、自分で携帯を持っている方もいる。この辺の基準みたいなものがあったら教えていただきたいなとと思います。
南淵先生 まずペースメーカーです。これもさっきの弁置換と同じで事例はないです。携帯電話とかIH治療器が、いろいろ磁場(マグネティックフィールド)で狂うんじゃないかと言われているんですが、日本全国で事例はないです。携帯電話も影響を及ぼすかもしれないということで、その点はほんとに日本人というのは緻密な国民性というか、細かいことを非常に気にします。
新幹線だって電波ウォッチですから見たらわかると思うんですけど、到着時間が30秒以上狂わないです。ホームに入ってきてドアが開くまで。それぐらいなので、なぜ、ああやって一生懸命に電車の中でも放送するのかなという気はするんです。ペースメーカーの方に聞いても事例は一回もないということです。だからといって安心していいわけじゃない。そういったものがあるということを常に頭の中に入れておくというのは損なことではないと思います。
ワーファリンの飲用基準と薬の後遺症
ワーファリンの基準です。生体弁ではワーファリンは要らないのですが、不整脈に対して出しているんです。不整脈つまり心房細動。先ほど言いました、うちの病院の金公一理事長は別に人工弁を入れたわけじゃないですけれども、心房細動があるからワーファリンを飲んでいる。心房細動が起こると心臓の中で血栓ができてそれが脳に飛んでしまうんです。うちの理事長も脳に飛んでしまったということです。長嶋茂雄さんもそうです。
僧帽弁の手術をやられた方はそういった心房細動になっている方、あるいは普段はそうじゃないけれども1週間に1回ぐらいストレスがかかったときになるという危険性でもって予防的に脳梗塞になってしまうということを防ぐために、脳梗塞の予防で不整脈に対してワーファリンを飲んでいらっしゃる。
生体弁であったり、弁形成であったりするとワーファリンは僧帽弁に対しては要らないですけど、不整脈に対してワーファリンは飲むべきであるということです。そういうふうな基準です。
便秘と皮膚病ですが、それはわからないです。僕は診ていまして、そういう経験はないです。ただし、今のワーファリンも含めて心臓弁の手術で必ず投薬されるのがラシックスという利尿薬です。これは意図的に脱水にするわけです。体を干からびさせてしまうということで、乾燥性皮膚炎というのがあったりして、冬になって乾燥すると皮膚がかさかさになってかゆくなるという場合があります。それに近い状態を人工的につくる可能性はあるでしょう。それからあとアルダクトンAというのは女性ホルモンなので男性のおっぱいが大きくなってくることも人によってはあります。
便秘というのは、どちらかというと冠動脈の患者さんのニトログリセリンで起こりやすいと言われていました。冠動脈の患者さんで、今はあまりニトログリセリンをそんなに使わなくなってはいるんです。この中でも便秘の薬を一緒に飲んでいらっしゃる方がいると思います。冠動脈の方は慣例に従ってみたいな感じで便秘の薬は飲んでいらっしゃるんじゃないかなと思います。心臓の手術を受けた、特に心臓の弁でこういう薬を飲んでいる、その薬の作用としてこういうことが非常に起こりやすいというのはあまりないです。
もう一つ特徴的なのはうちの病院はいろんな先生がいます。折茂先生も含めて循環器の専門家が大勢いる。ラシックスを使うと心臓は楽になるんですけれど、体が割とへなへなになってしまって、あと手の関節が痛いという患者さんが非常にまれですけどいらっしゃいます。
利尿薬をやめたらめちゃめちゃ元気になったという人が結構いました。利尿薬というのは心臓の負担を下げるために心臓の弁の方には必ず使っています。冠動脈の人にはあんまり使わないです。手術のころ合いを見計らって3カ月とか半年、1年たった状況で心臓の動きがすごくよくなっているというときにラシックスという利尿薬を止めるとさらによくなって患者さんに喜んでいただけるという状況があります。
納豆を食べたいから生体弁にしました
Fさん 今回初めてこの会に参加させていただきました新人のFです。8月7日に弁の置換術をやりました。その前に成和クリニック以降、5年間ずっとここの病院にお世話になっています。
この病院で4人の先生に渡り歩いて診てもらいました。長橋先生(循環器)に診てもらって、折茂先生に引き継いでもらいました。折茂先生のときに、今年の5月に急にというか、不整脈は今まで起きていたんですが、その不整脈が止まらなくなっちゃった。慌てて折茂先生のところに行ったら、「これは駄目だ、病院へ行って白石先生に診てもらえ」と病院に来て、白石先生は早速カテーテルをやりました。三宅先生と2人で相談して、まず僧帽弁のバルーンで成形してみよう、やって駄目だったらオペレーションだなという話になり、8月7日に弁の開胸の手術をしました。
2カ月たって今のところ徐々に回復しているような感じがします。生体弁なので、私は10年前にこれが発見されたときに、「納豆を食べては駄目よ」と言われたのが一番気になっています。そのために生体弁を頭から選択しました。手術をされたのは奥山先生ですが、「10年から15年が生体弁の寿命だよ。ただ医学が今はころころ変わって発達しているからわからないよ」と言われました。いずれにしても納豆を食べたいから、何でもいいから生体弁にしてくれと。10年間食べなかったうっぷんを晴らそうと思って。
ただ、替えて2カ月なのでまだワーファリンを飲んでいます。この次11月の初めに行ったら、「もういいよ、納豆食べて」と言われる可能性はあるんですけど、それを期待して行っています。何はともあれここの病院に来て、4人、5人の先生にかかったのは私だけかなと思って。残念ながら院長だけにはまだお世話になっていませんのでこれからよろしくお願いします。(笑)
南淵先生 冠動脈はまだ残っていますよね(笑)。詰まってくるかもわからない。そのときは僕の出番かもわからないです(笑)。いや冗談です。では次の方。
臓器が癒着していると2度目の手術は不安
Gさん 私は6番目の他の病気の検査、手術の関連についてのグループです。人数が7名プラス家族2名と非常に少なかったので、一人一人から自己紹介を含めて詳しくいろいろ話が聞けました。中には手術のときに失語症になって、今も犬と猫の区別が口でうまく言えないという方もいたりしました。
あと、前に手術をしたのですが、右足のお皿をけがで割ってしまって緊急手術というときに、ワーファリンを服用しているのですぐに手術できなかったと。それからまた別の患者の方で、前に手術をして、来月前立腺がんの全摘出手術をするということでどういう問題があるのかなと。幾つか問題が出ました。
その場所に一緒に参加しておられた深津さんのほうから、手術に関してまず緊急な手術の場合はワーファリンからヘパリンに替えたりそういう問題は起きるということで、これはまた詳しく聞きたいと思います。
来月、別の前立腺がんの手術を受けるという方の場合です。成和クリニックに泌尿器科がありましてそこにかかったそうです。そこで北里大学の泌尿器科を紹介されてそこで手術を受けることになった。深津さんの話では病院同士の連携が極めて大事だということで、ワーファリンを服用してるということでそのことを言われました。ですから今回の場合でいけば、成和クリニックから紹介された病院ということで非常に安心してかかれるということです。
もう一つ、手術を一度していると臓器の間が癒着してしまうということで、もう一回切ってやるというのだと大変じゃないのかなということで心配もありました。深津さんのほうからは、大和成和病院で手術した場合にはその心配は要らないということです。問題はほかの病院でやった場合にそういうことが起きていると言われました。その辺ももう少し詳しく伺いたいと思います。
南淵先生 深津さんは手術室の看護師さんですけれども、なかなか正直な人なのです(笑)。よその手術が下手くそで、一回よそでやるとぐちゃぐちゃにくっついちゃって、うちでやり直すと大変だ、なんてことが彼女の個人的な印象なんでしょう(笑)。
やっぱり本当に2回目の手術って大変です。緊急手術うんぬんですけど、これも今までの問題と皆さんは大体共通していますよね。心臓ということで、その次の病気になったときにどうなるか。これはワーファリンを飲んでいる、飲んでないと大きいかもわからないですけど、ワーファリンを飲んでなくても必ず何だかんだと問題になります。
病院同士の連携はとても大事
要するに連携とはいうものの、例えば泌尿器の手術で前立腺を取る。僕はそれがどんな手術か知らないです。第一だれがやるか知らないじゃないですか。下手くそな人がやるかもわからないし、上手な人がやるかもしれない。それで「大丈夫ですか」と聞かれたって、そんなこと知るか、あんたの責任だろうとなりますよね。何かあったらこっちのせいにされては困るわけだし。だから「心臓の手術は問題ないですよ」というふうなことで回答するしかないですよね。医療行為ってどんな状況でも大変なわけですから。
前立腺の手術をされる方も、心臓の手術をする僕でもそうですけど、そこだけ悪いということはないかもしれないわけです。いろんな患者さんがいろんな病気を重ねて持ってらっしゃることっていっぱいあるわけです。例えばうちでもよく手術をやりますけど、脳の血管が細いとか。じゃあ脳がどうなるかわからないから心臓の手術は嫌だよ、なんてことはあり得ないわけです。この中にもたくさんいらっしゃると思うんです。先に心臓が止まったら大変だから心臓の手術をしましょうということでやっているわけです。だから重要度はありますが、やっぱり個々のお医者さんの考え方です。
深津さんが言った病院同士の連携が大事だというのは、医療業界は狭い世界ですから、おまえの手術を見ているよ、とそういう一つの手続きになります。泌尿器科の手術をするときに僕のところへ来て、今度あそこの病院の何とかという人が泌尿器の手術をやるんだなと。そこでしくじったらあいつは下手だと僕はみんなに言っちゃいますよね、広がっちゃいますよね。そうならないように、前立腺の手術をする人にはプレッシャーでしょう。医者同士の連携が重要というよりも、医者同士をあえて連携させるというのはすごく大事なことです。医者の力を120%出させることになるわけです。そういう意味で連携をとるというのはすごく大事なことです。
その正反対が、歯医者さんが「歯を抜くときに大丈夫か聞いてこい」と口頭で言ったと。歯医者さんもちゃんと文章にして書いてくる方がほとんどですが、中には患者さんに「じゃあ聞いてきてよ」と言った調子で、そんないいかげんなプロ同士のコミュニケーションなんかないですよね。言った言わないでごまかされてしまうようなものです。
だからそういう意味でいろいろほかの臓器、ほかの問題でかかる病気の先生方を値踏みする必要はあると思うんです。うちの関連で紹介すると、それは向こうもちゃんとやらなきゃしょうがないですから、それは非常にいい方法じゃないかと思います。
それから、もう一つの緊急手術うんぬんです。緊急手術は度合いによってはすぐやります。一番最後までお待たせして大変申し訳ないですけれども、Hさんの場合も一回手術をやらせていただきました。いや、言われる前に言っちゃいます(笑)。急変されて、ほぼ緊急手術です。そのときにHさんの冠動脈は皆さんとはちょっと違う状態ですのでワーファリンを飲んでらっしゃる。今でも飲んでらっしゃる。冠動脈だけれどもワーファリンを飲んでいらっしゃるんです。
例えば人工弁の患者さんでもたまに緊急手術があります。それは生体弁じゃない。むしろ機械弁の方のほうが緊急手術になるんです。そうするとワーファリンを飲んでらっしゃっても手術するんです。だから我々心臓外科からすると、ワーファリンを飲んでようが、ヘパリン入っていようが、さらにもっとすごいのはカテーテル治療が駄目なのでバイパス手術という方も中にはいらっしゃると思うんです。カテーテル治療のときに何を使っているかというと、ヘパリンを使うだけじゃなくて、血栓を溶かすウルキナーゼというのを使っているんです、あるいはTPAというのを使っています。これはもっとたちが悪いです。血が固まらないんじゃなくて固まった血をさらに溶かすのです。そんなのを使われている状態でも心臓のバイパス手術をやります。この中にも何人かいらっしゃると思うんです。
そういう状況でも手術はできてしまうものです。いや、そんなの普通に平気にできますよというわけじゃないですけど、多くの場合は問題ないです。ちゃんと一生懸命に丁寧にやれば大丈夫です。ワーファリンを飲んでいようが飲んでいまいが。それはほんとに大丈夫です。でも待てるんだったら待ちましょうと。ヘパリンに替えてから待ちましょうという状況です。
だから本当はやらなきゃいけないけれどもワーファリンだから駄目ということでは決してなかったと思うんです。ひざの手術の方も、そこまで緊急にやる必要ないから、じゃあもうちょっと待ちましょうかということです。その辺の重要な部分ではありますけど、ニュアンスというのが伝わらないこともあったりするので。ただただ自分がワーファリンを飲んでいたということがすごいネガティブだったというふうにはとる必要ないし、とるべきじゃないです。
ニトロのスプレーと錠剤はどちらが効くのでしょうか?
Hさん 私は1番の冠動脈の再狭窄にいたんです。年が若いのと体験の数が多いというので「おまえ行ってこい」と言われて。僕はまとめの話はよく聞いてなかったのですが、一番多かったのは動脈の寿命とか、ニトロは錠剤とスプレーとどっちが効くのかの話と、副作用の話ばかり出てきました。
実際に僕は心筋梗塞で2回救急車で運ばれて、幸いにも2回開胸手術をして6本都合やっています。右足の血管と両方の血管がまだ残っていますので、十分まだ年数は若いので対応できると思うんです。
先ほどつないだ動脈がどれぐらい寿命があるのかという話が出てたんです。僕はその中でお話ししたのは、もともと動脈硬化がある血管はどこから持ってきてもやっぱり動脈硬化がそこに起きているんじゃないかと、僕の想像の中では思っています。僕は動脈硬化はそんなになかったんですが、違う不摂生があって翌年発生したんだと思うんです。
一番最初の方と同じようにとりとめのない話で、ステントの数はおれが一番多いとか、何年生きているとか、そういう話が再狭窄の中の方では多くて、救急車で運ばれたという方があまりいなかったんです。
自分の体験からいきますと、2回目に心筋梗塞を起こしたとき、自分で心筋梗塞という意識がなかったんです。ニトロも持っていたのですが、会社の机のところで仕事をしていたんですけれど、朝から気分が悪いなと思っていたんです。お昼も食欲がなくてちょっとおすしを食べて我慢していたんです。そうしたら机のところでいきなり目の前が真っ暗になり、机の上が汗の海になりましてこれはまずいと思って、会社の人間に「救急車呼んでくれ」と言って救急車で行ったんですけれども、道が込んでいて救急車が進まないのが一番頭に来ました。
僕が一番お願いしたいのは、ここにも車を運転する方がいっぱいいらっしゃると思うんですけど、救急車が来たらぜひよけてあげてほしいと思います(笑)。これは本当に2回の心筋梗塞とも救急車で運ばれたとき意識があったんです。意識がなければそういうこと全然わからないですけれども、つめをこうやって「早く車、どけよ」みたいなそういう状況が起きたので、今でもサイレンが聞こえると敏感にすぐ左に寄る習慣がついています。
皆さんが先ほどからずっとお話の中でワーファリンの件があって、私もだいぶ小さいころから歯が悪いので先生に相談したら、ほとんどのお医者さんはワーファリンを止めてくれと言う。南淵先生は「そんな医者に行くな。どこかにあるはずだ」と。
やっと自分のうちのすぐ近くに「大丈夫だよ」という先生がいてくれて、まとめていかないといけないと思うので、もう少しほかのところも悪くなるまで待とうと思って。その先生いわく、「心筋梗塞でワーファリン飲んでいる人はそんなに怖くない。糖尿病の人のほうがちゃんと言ってくれないとそっちの人のほうが恐い」と言っていました。これはほんとかどうか先生に聞かないとよくわからないです。
あとニトロのスプレーと錠剤の効用というんですか。中には心筋梗塞にはニトロは効かないよという方もいらっしゃったんです。僕は護身用で部屋のあちこちにニトロをいっぱい置いてあるんです。一回だけちょっと飲んだら錠剤のはずが粉になっていて慌てたことがあるんです。そのときはちょっと貧血だったので大事に至らなかったんです。そういう意味でワーファリンがないと生きていけないような感じに今はなっています。
南淵先生 どうもありがとうございました。また歯医者さんの話ですが、おっしゃるとおり本当に歯医者によるんです。まさにHさんがおっしゃったとおり。Hさんはお若いと言いましたけど本当は結構な年です。(笑)
Hさん 63です。
南淵先生 そうでしょ。テレビショッピングでよく似た方がいらっしゃるんです。その方と年が一緒ですよね。あの人も63ですよ。あの長崎の方。
とにかく歯医者さんは、さっき言ったようにワーファリン飲んでいる人を治療すると、別に死にはしないですけど夜中に電話がかかってくるのが嫌なんです。血が止まらないぞとか。だからそこの違いです。その姿勢の違いです。技術とか能力とかそういう問題じゃなくて姿勢の違いだということはよくご理解いただきたいと思います。
ニトロとスプレーというのは、スプレーのほうが当然すぐ効きます。ニトロというのはすぐ舌で吸収されます。そんなに副作用がないですから簡単に使っていただいても結構です。狭心症でないかもしれないけど使っても結構です。心筋梗塞というのは結果論ですから理屈の話になって話せば長いですけど、心筋梗塞なのか狭心症なのか、あるいは全然違うのかそれはわかりません。
目の前に医者がいてもわからない。心電図を撮ってもわからないこともあります。心臓の超音波を調べてもわからないこともあります。だから自分がそうかなと思ったり、虫の知らせとか、あるいは一番大切なのは、奥さんが飲めと言ったら絶対飲んでください。奥さんに逆らったら我々は死んじゃいます(笑)。そういうところです。
Hさん グループにもいましたが、ヨーグルトを毎日飲んでる、食べてる人が結構いるんです。僕もそうです。じゃあ明日からやめようと僕も思っちゃったんです(笑)。これはそうなんですか。この間、卵の黄身も肝臓で消化して、プラス・マイナスするからコレステロール値には影響しないというのをテレビでちょっとやっていましたが。
動脈硬化のある方は乳製品をとるメリットはまったくない
折茂先生 私がお伝えした件に関しては何度も言っているように、すべての人にいいものとか、すべての人に悪いものというのがないのです。それぞれ皆さんの体質だったり、持ってらっしゃる病気によって食べるものも変わってきます。コレステロールに関してはコレステロールを上手に処理できる、もともと肝臓の働きによる違いです。上手にコレステロールを代謝といって分解してつくったり、善玉を増やしたり、悪玉が増えてしまったりという比率というのは肝臓のもともと持ってらっしゃる能力の違いです。
それは同じものを食べていてもコレステロールが高くなる方、逆にご夫婦でしたら片方は心臓病になったのに、同じ食事をしているのに片方の方は全然平気、コレステロールも高くないというのはそういうことです。例えば皆さんにいいとか、皆さんに駄目というわけではないです。
カルシウム、特に乳製品。例えばお通じの加減で乳製品をとっている、腸の調子がよくなるからという方が、例えばそういう目的でとられている方と、あとは話の中でも言いましたけれどもカルシウムを摂取する目的でとられた方。あとはもともと好きだから食べている方といろいろいるかと思うんです。
まず大事なのはコレステロールが高い方、動脈硬化がある方というのは乳製品をとるメリットは全くないです。それはテレビで何を言っていても全くそのとおりです。そもそも牛乳自体は子牛が飲むものです。牛を考えてみると子供のころに飲んでいて成長したら草しか食べてないわけです。草しか食べてない大きな牛が霜降り牛になるわけです。
どういうことか。栄養満点、確かに栄養はあるんです。カルシウムも豊富にありますから、成長、育ち盛りの、コレステロールも脂質もカルシウムも必要な方というのはとっていただいていいです。ただ成人になって心臓病を悪くされている方というのはとらなくていい。最近コレステロールが高くないほうが脳卒中の回復とか、がんにいいというお話もありました。あれも私が今まで経験してきたこと、世の中で発表されていることと照らし合わせてみてもコレステロールは低いほうがいい。
世の中で言われている健康法、テレビで言われているものもそうで、売ってるものもそうです。いいと言われているものを皆さんがうのみに信用して実行していただくのはあまりよくないです。卵と乳製品、牛乳を含めてそうですが、おとりにならないほうがいいです。
例えば乳製品でお腹の調子がよくなるというのも、実はあれはビフィズス菌が腸まで届いて腸の働きがよくなっているわけじゃない。胃酸で99点何パーセントの乳酸品は死んじゃうんです。それが腸まで届くと宣伝しているのもあくまで営業です。
残念ながらそういった方法じゃなくて、腸が何で調子よくなった気がするかというと、乳製品というのは乳糖という牛乳に含まれている糖分があるんです。あれは乳糖付帯症という病気があるぐらい、人の体にとってそれがちょっと苦手な方もいるんです。そうすると腸が刺激されているために腸が動いて便通がよくなってる。要はちょっと下っているのと同じことです。だから腸が元気になって腸の機能がよくなってお通じがよく出ているというものとは違うんです。
そういった誤解がたくさんあるので、世の中で言われているいろいろな健康食品もそうですけど、いいものと言われているものも問題があるものはたくさんあります。だからもしそういったもの、何かなさっているというのがあれば、それを直接主治医の先生に聞いていただいて、これは体にとっていいのか悪いのかというのを聞いてみてください。
南淵先生 体質がわからない、少し自分で試してみるとか。僕なんかは兄で人体実験をやったんです(笑)。クレストールという薬がすごくいいということで、兄に4月から投与したらすごくよかったので、その結果を見て僕が飲むようになったんです。そうやって皆さんも兄弟とか親とか実験してみたらどうかなと。ヨーグルトをいっぱい食わせて元気になるかどうかとか(笑)。ちょうど時間です。本当に今日は充実した議論をさせていただきありがとうございました(拍手)。
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