2013年度「パネル討論会」(2013年5月3日・大和市保健福祉センターホール)

テーマ「私の健康法」

司 会/南淵明宏先生(大崎病院・東京ハートセンター長)
助言者/藤崎浩行先生(相模原協同病院心臓血管外科部長)
パネラー/北川都さん・大貫武男さん・梅澤千代子さん・渡辺忠昭さん

「健康」っていったい何ですか?

 南淵先生 先ほど大喜利と言いましたが、「私の健康法」ということで壇上に上がっていただいている大貫さん、北川さん、渡辺さん、梅澤さん、それから藤崎先生ということで始めさせていただきます。
まず自己紹介も兼ねて皆さんに一人ずつ、一番向こうの渡辺さんから。健康って一体何ですか。ちょっと意地悪な質問です。
 渡辺さん 私なりの解釈では、生きているのが楽しく毎日が送れるというのが健康だと思っています。(拍手)
 南淵先生 1回目でホームランを打たれてしまいました。(笑)では梅澤さん、どうでしょうか。
 梅澤さん 私も大病に遭いまして今までにない大変な経験を味わいました。これから自分の生活がどういうふうになっていくのか不安でしたが、できる限り少しでもいい方向に毎日楽しく過ごせたらいいと考えるようになりました。(拍手)  
 南淵先生 どうもありがとうございます。毎日楽しくということです。これでこの討論はおしまいにしたいと言うと、身もふたもないということになります。(拍手)大貫さん、いかがでしょうか。
 大貫さん 私は女房の顔がきれいだなと思うにはやっぱり健康が一番だと思います。女房がいくらきれいでも自分の体が悪ければちっともきれいに見えないので、2人でけんかしいしい、楽しく語り合えるのが一番の健康だと思います。(拍手)
 南淵先生 ちょっとひねっていただきましてありがとうございます。(笑)では北川さん、どうぞ。
 北川さん 私は自然のまま生活できることが健康だと思います。
 南淵先生 自然のまま、平常心というか、特に何も考えないと。
 北川さん そうです。(笑)
 南淵先生 藤崎先生、今の話でどうですか。
 藤崎先生 健康ということを言われて確かにそのとおりですが、人間というのは気持ちの部分でも健康の部分でも常に揺らぎというのがあると思います。要するに真っすぐな健康な状態というのがあったとして、そういうものが仮想として柱みたいなものがあったとしたら、今日は頭が重いとか、足が痛いとか、あるいは気分的にすぐれないとか。本当に心身ともにすごく爽快な状態ということに、自分が1年365日のうちのどのくらいの時間になれているのかというと、ちょっとそれは自信がないのです。
 そういう状態を本当に健康だとするならば、例えばそこから揺らいでしまったときにどうやって爽快な状態に修正できるのかということ、その方法をどれだけたくさん知っているかということで、要するに自分が健康というか爽快な状態を保てるようになる。そこの部分を一緒に患者さんと探していくというのが自分の仕事なのかなと考えています。(拍手)
 南淵先生 素晴らしいですね。あらかじめ用意したような答です。(笑)健康ということ、とにかく楽しく時間を過ごすということで非常に抽象的です。そこで藤崎先生が、では具体的にどうするのかと言われました。人間はやっぱり落ち込むことがある、いろんなことがあるだろうということです。では具体的にどうすればいいのか。
 大貫さんの詩吟があるわけですが、その詩吟以外に、北川さんのほうから何か。具体的に、いわゆる平常心で1日を過ごす、何も捉われないということですが……。

80過ぎると脳で考えるのではなく体が教えてくれます

 北川さん 私は今までは脳で体のことを考えていました。それが80過ぎてからは、あべこべに体が教えてくれます。素直に体の言うことを聞いていればそれで済むようになりました。
 南淵先生 なるほど。体を80年間ずっと観察してつき合ってきた。体とうまくつき合っていくということですね。
 北川さん 脳で体を使おう、元気にさせよう、健康にさせようと思っても、80過ぎると無理じゃないかなと気が付いたのです。体の言うことを聞いていると、実に1日が自然に楽しく送れるようになりました。
 南淵先生 もうちょっと具体的に言うと、どうなるのですか。例えばファンデーションののりが悪いとかそういうことですか。(笑)
 北川さん いや、そういうことでなく、去年はこの運動は60回できたのに、今年は30回しかない。それを残念だと前は思っていたのです。このごろは30回もできるじゃないという、そういう気持ちになれるようになったんです。藤崎先生がおっしゃったような、自分の気持ちのバランスがとれるようになったのかなと思います。
 南淵先生 あるいは従うということですか。
 北川さん そうです。体の言うとおりに素直に従う。
 南淵先生 なるほど。
 北川さん ですから食事も何をいただかなくちゃいけないじゃなくて、体がちゃんと教えてくれるのです。今まではコーヒーにお砂糖2杯たっぷり入れてミルク入れて8杯飲んでいたのが、このごろはブラックのほうがよくなりました。それは私の脳で決めたんじゃなくて体が教えてくれている。お塩でも糖分でもあまり欲しいと思わなくなってきたということでございます。(拍手)
 南淵先生 なるほど。藤崎先生、どうですか。こうやってお年を召してから自分なりに変わっていかれる方はいらっしゃいますか。  
 藤崎先生 食事で思い出したのは、自分がずっとバイパス手術の後を診ていた方が、ある日突然肝臓がんが見つかって、かなり進行してて年齢的にも抗がん剤は難しいなという感じでした。すごく食欲が落ちてしまって、心臓外科の外来に来てご飯食べれないと言われました。それまで何を食べちゃいけない、これを食べちゃいけないとそういう話もしていたところがあって、「でもいいですよ、別に何を食べても。食欲がないんだから好きなものを食べてください」と言ったら、何十年ぶりに奈良漬を食べたら食欲が出てきた。取り寄せた奈良漬を僕のところにも持ってきてくれました。
 体が教えてくれるというのはすごい、その感覚になれる人は決して多くはないだろうと思います。その感覚を持てるようになるというのは普段から自分の体調に関してすごく、体とコミュニケーションをよくとってないとできるようにならないと感じました。
 南淵先生 好きなものを食べることで食欲が増進、活路が開けるということは、僕も患者さんで経験しています。では大貫さん、詩吟のことに関してぜひお話ししていただきたいのです。詩吟をやっていると体が呼吸するということもあります。先に言っちゃいますけど、人前で演じるということは自分で緊張したり、メンタルなものも作っていかないといけない。そんなことを含めてぜひ効用ということを語っていただきたい。

詩吟は複式呼吸――詩吟で声を出すおかげで健康です

 大貫さん 私は平成16年に南淵先生に手術していただきました。その前、50歳のときに脳梗塞で半身麻痺をしています。それから糖尿病になって血糖値が900になりました。入院しても今日か明日かというようなことでした。そのあげくに心臓の手術をしたもので、今は閻魔さまがお迎えに来ればいつでも行くんだという気持ちでしょうか。3回重病をして三途の川を見ましたが、まだ早いから来るなということで今まで生き残っています。年はじき80に近いです。そんなことで結局、声を出すことということで、それこそ30年の上、詩吟をやっています。
 詩吟は腹式呼吸でやります。胸式呼吸ではやりません。その関係で8年8カ月たって、心臓手術しても何の病気もしないし、ただただ毎日毎日楽しく過ごさせていただいています。詩吟の声を出すおかげで丈夫なのかなと思っています。(拍手)
 南淵先生 それは間違いないと思います。我々が手術をさせていただくほうも、詩吟あるいは三味線とかゴルフもそうです。手術したらゴルフをできなくなりますかと聞かれますが、全然そんなことはない。むしろ僕ら医者としては、そういう趣味あるいは何かに集中されているものを持ってらっしゃる――登山とか日本百名山を全部登るという計画、そういうものを持ってらっしゃる人のほうが非常につき合いやすいというか、手術をやってもすごくやりがいがあるなという気はします。藤崎先生、その辺はどうですか。
 藤崎先生 先生がおっしゃったとおりです。手術が終わって元気になったらあれをしたい、これをしたいと語ってくれる方には、こっちも頑張ろうという気持ちは強くなるというのをすごく感じます。
 これはちょっと違いますが、急性大動脈解離で手術した方で山登りが趣味だった方がいます。夏休み明けに真っ黒な顔をして外来へ来て、山へ行ってきたと言うんです。手術して2年ぐらいです。「どこへ行ってきたんですか。高尾山ですか」と聞いたら、「いいえ」。「じゃあ大山ですか」「いいえ、北アルプスを縦走してきました」。「はあっ」と驚いて。それを息子さんにも言わずに行ったものだから、「息子にえらい怒られました」とけろっとしている人がいました。
 急性大動脈解離の手術をやってここまで行けちゃうんだというのは逆にすごくびっくりして、能力というか可能性というか、その人の持っている気持ちの問題がどれほど人を強くするのかなというのはすごくそのときに感じました。(拍手)
 南淵先生 どうもありがとうございます。次に梅澤さん、どうですか。どういうふうなことで健康、あるいはさっき言った楽しく過ごせるように、何か具体的にやられているノウハウみたいなものはあるのでしょうか。

食事、運動、睡眠などペースを崩さないように過ごします

 梅澤さん 私は先生のお話とかお友達ともよくおしゃべりがありますが、やはりお食事が大事とか、運動が大事、睡眠も大事と、そういうことをなるべくペースをあまり崩さないような毎日を送るということもある程度考えています。それから20年ぐらい前にヨガを少しやっていました。ヨガは呼吸が大事です。インストラクターがおっしゃるような上手なポーズはとれないのですが、自分なりにふうふう言いながら、今は時間がありますから毎日少しずつでも、1日1回15分から20分を必ず入れます。
 あと散歩といいますか、買い物の時間などで1日に30分、40分歩くとか。なるべく自分の理想は毎日それをやりたいのですが、たまに途切れることがあります。大体週に4回ぐらいの目標でやっています。
 最近少しは体のほうも――ヨガは今年1月から始めましたが、血液検査をお医者で必ず毎月一遍やりますが、コレステロール値が少し減ってきました。たった2、3分の診察の間に先生が「あ、コレステロール値が減ってる」「減ってる」と2回も驚いたような言い方をされました。これは何かいいことなのかしらと自分でも考えて、自分ではこれなら続けられそうかしらと思って毎日やっています。
 あと、今は春ですから、草花のいろいろなつぼみが出たり花が咲いたりそういうのを見て、咲いてくれたとか、大きな芽が、つぼみが持てたとか、アジサイも今はつぼみが見えてきました。そういうのを見て、ああ咲いてくれるんだとか、こういう身の周りの小さなことの喜びみたいなものを感じて毎日少しずつでも世話をしています。あとはテレビを見たりする時間も多いのですが、そういう状態です。(拍手)
 南淵先生 ありがとうございます。ペースを崩さないというのが今の話の中に一つ大きくあったと思います。それから一つ一つのことをポジティブに、前向きに、いいことだ、ありがたやということで考えて自分で認識しているということです。
 それでちょっと突っ込んでお伺いします。そうじゃないときもあるんじゃないですか。例えば花畑をアライグマに荒らされて、とっ捕まえてぶっ殺してやるみたいなことで頭に来るとか。(笑)そういうときはどうされますか。
 梅澤さん ええ、たまには。猫がだいぶ踏みにじったり。
 南淵先生 それは問題ないと思います。(笑)どうですか。そういう何かつまんない、頭に来るようなことがあったときはどうされますか。落ち込むこともあると思います。
 梅澤さん 半日ぐらい、本当に嫌だわとか思ったりしますけど、飲み物のコーヒーが好きですから、コーヒー飲んだりティータイムをとったりして、あとおやつをちょっとつまんだり、果物を少しつまんだりして気を紛らわせています。
 南淵先生 なるほど。そういう自分のメンタルな、先ほど藤崎先生の話にあった宮里藍の話――落ち込んでも自分で切り替えると、そういうことですね。それはやっぱり大事だということです。では渡辺さんはいかがでしょうか。具体的なお話を。

ボケ防止のトレーニングと寝たきりにならないための運動をしています

 渡辺さん 私はピンピンコロリというのを狙っております。そのためには頭がぼけないことと寝たきりにならないことだと自分で言い聞かせています。そのためにまず頭がぼけないためには結構いろんなことをやっています。
 まず、もっと頭がよくなるDSトレーニングというのがはやりましたよね。今も私は毎日やっています。特に算術記号、記憶加算、釣銭渡しというのは毎日やっています。それから将棋を毎週1回、会を催しまして近くの公民館で1時から5時近辺までいろんな人と取っかえ引っかえ将棋をやる。
 昔、とち狂ってマージャンをやった時代がありましたが、今は健康マージャンというのをやっています。賭けない、飲まない、吸わないといいますかね。お金を賭けない、たばこを吸わない、お酒飲まないというような、3ない主義の健康マージャンを、それも手積みでこれも週に1回ぐらい4、5時間やっています。あとパソコンのゲームがありまして、それも時間があるときにやっています。それぐらいが頭がぼけないための自分なりの工夫です。
 寝たきりにならないためには歩ける人は大いに歩いてもらえばいいのですが、私は腰部脊柱管狭窄症の手術もして歩くのが苦手です。ただ卓球はできます。二つの団体に入り、卓球を月に6、7回、冬場でも汗びっしょりになるぐらいやっています。歩くのは苦手ですが、自宅でよくやるエアロバイクがあります。今でも毎日20、30分、汗をかくほど漕いで、それから風呂へ入って寝るという生活を送っています。あくまでピンピンコロリが私の最終目標です。(拍手)
 南淵先生 皆さんの思うところの自分で実践している健康法ということですね。さらに、ここにいらっしゃる方はすでに健康であらせられるわけです。そういう人は自分でやっていることは何が健康か気が付かないでやっていることがあるのかなと思ったりします。そういうところで先ほど梅澤さんから「ペースよく」ということです。では毎日同じペースで何をやっているのか、日課みたいなものです。
 マイクがありますから、今度は逆に渡辺さんのほうから。どういう日課なのか。確かにマージャンというのは最近若い人は全然やらなくなりました。ボーダーは僕らぐらいの世代かな。50ぐらいの下は全然やりませんが、すごく頭のトレーニングになります。戦略であったり、いろいろ感情を落ち着けたりとか、黙ったりとか、そういうペース配分、あるいは日課みたいなものをぜひお伺いさせていただければと。エアロバイクは毎日やられますか。

空白の日をつくらないスケジュール管理が目標です

 渡辺さん はい。日課ということになると、まずは長い間、牛乳とヨーグルトとパンの朝食だったのです。乳製品はあまりよくないというのをこの前、こちらの健康法で聞きまして牛乳を豆乳に代えました。今は豆乳とパンというような朝食をとっています。
 3月までは仕事をしていましたが、4月からは時間が空きました。だけど空白を作らないようにするために、先ほど言いましたように卓球をやったり、将棋をやったり、カラオケの歌の会にも入って。最近4月からは、自分ではあまり高音が出ないものですからボイストレーニングにチャレンジしてみようと思ってソプラノの先生に習っています。これは日課ではございません。
 そういうことも加えて、とにかくスケジュールを、できるだけ何も空白の日を作らないというのが私の目標です。何らかのスケジュールが必ず1日に入るような形で自分なりに工夫をしているつもりです。以上です。(拍手)
 南淵先生 今のお話で感心したのは「スケジュール」とおっしゃったことだと思います。いろんな健康法、例えばエアロバイクだ、俺もやってみようといきなりやった。でも次の日に、あるいは次の次の日に筋肉痛でやめたというのがあります。思いつきでやったけど駄目だった。渡辺さんはいろんなことをやっておられて、じゃあ俺もやってみようかという方もいらっしゃると思います。それは僕のことを言っているんです。(笑)すぐ駄目になっちゃう。急にやると体が傷んじゃいます。
 「スケジュール」という言葉を今聞いたのは非常に新鮮で、やる前に当然バランスも考えるし、ずっと一つの日課というものをあらかじめ決めてしまうということなのかなと思います。
 あと、この日課ということを聞いてみようと思ったのは、梅澤さんのお話を聞いてからです。自分では気付かないような形で、人から見ると非常に規則正しく、例えば朝起きて体をきれいにして仏壇に行ってお線香を上げるとかそういうことはすごく健康には大事だと思います。その辺をちょっとお聞かせ願いたいのです。
 渡辺さん すみません。その前にもう一つだけ言わせてください。日課ということで、最近はやりのロングブレスを美木良介という俳優がやっています。私はそんなに太っているつもりではないのですが、太るのは心臓にはよくないかもしれないということで、ロングブレスも必ず日課として朝晩、大した時間ではありませんがやっています。 
 南淵先生 それもスケジュール表に書いてありますか。
 渡辺さん 書いていません。それはスケジュールじゃないです。
 南淵先生 でも昨日、あれ忘れたなと思いません?
 渡辺さん 思いません。
 南淵先生 毎日必ずやると。
 渡辺さん ええ。人と約束しているスケジュールは必ず書いています。
 南淵先生 一度決めたら必ず同じことを毎日やる、それは決まり事ということではやっぱりスケジュールということですね。先ほどの任天堂のDSに加えてロングブレスと、割と渡辺さんはミーハーなところがありますね。(笑)
 渡辺さん おっしゃるとおりです。
 南淵先生 では梅澤さん、どうぞ。

大貫武男さん

藤崎浩行先生

北側 都さん

毎日仏壇に手を合わせて規則正しい生活を送っています

 梅澤さん 私は主人の仏壇に毎朝、お花の水を取り替えたり、ご飯とお水を上げたり、お線香も上げたりします。あるときご経本を少しやってみようかなという気持ちで、お経も般若心経でそんなに長い時間ではないのですが自分で本を見ながらやります。声を出すということが少ないし、いいんじゃないかしらと思って、仏様には悪いんですけど自分の健康も一緒にということで毎朝、般若心経をあげています。(拍手)
 南淵先生 手を合わすということはお釈迦様に対してうんぬんというところもありますが、フィジカル(身体的)な意味でも規則正しい生活を作っていくと思います。先ほどから皆さん言っているように、我々は思索、頭で考えて体がそこについてきているという動物なわけです。
 手を合わすということによって一体自分は何だろう、何を今やっているんだろう、生きているということは何だろうということを常に自分に問いかける、そういう大きな根本の思考の部分だと思います。そういう意味で仏壇でなくてもいいのですが、一つの儀礼というものに対しての行動を毎日欠かさずにやるというのは、これは健康あるいはずばり、ぼけないということにもつながっていくと思います。では次に大貫さん、日課という観点からどういうことをやりますか。大貫さんの場合は広い畑があるようです。

農業で体を動かし詩吟教授で声を出すのが日課です

 大貫さん 私の家は農家ですので午前中は農業をします。だから別に改めて運動はしません。特に今は野菜苗の植え付けとかこれから大変忙しくなります。ただし火曜日から土曜日までは詩吟の教場を五つばかり受け持っていますので、午後からは火曜日から土曜日まで毎日、詩吟に通います。今は生徒さんが50人ばかりですがそんな毎日です。とにかく病気をしている間がありません。ここのところ心臓を手術してから一度も風邪をひいたことはありません。多少風邪ぎみでもおなかから大きな声を出していると風邪は治っちゃいます。そんな毎日です。(拍手)
 南淵先生 すごいですね。50人ということで、その中から患者さんをご紹介いただきまして本当にありがとうございました。(笑)でもそういう日課というか、体を動かして、しかも農業ですとほったらかしにできないところがあります。どうしても自分は毎日そこにかかわるというようなことで自然と無理な日課になってしまいますね。では北川さん、日課という点でどうでしょうか。

毎日仏壇へのお花とお水替え、食事が1日2回です

 北川さん 前は自分で決めたことは1日のうちに一つずつやりこなさないと気が済まないほうでした。先ほど申し上げたように、このごろはあまり脳で考えない。ですから昨日やったことでもやらないときもございます。ただ、梅澤さんと同じように主人が3年前に89歳で亡くなりました。ですから毎日お花のお水を代えたり、そういうことは致しております。
 婚家先が臨済宗ですから南無阿弥陀仏です。実家のほうは神戸でございましたもので法華経でございます。それを並んで飾りまして何にも違和感なく南無阿弥陀仏、今度はこちらを向いて南無妙法蓮華経を唱えております。(笑)
 作るのを忘れてしまって自分が先にお食事をとるということは絶対いけないと思いまして、このごろ食事は11時ごろと6時から7時の間の2食にしています。11時のときには昔から肉は好きでステーキをお野菜たっぷりでいただきます。それでワカメのスープと。夜はそのときの体の加減でサラダだけでやめたり、湯豆腐とか――大豆のものは好きじゃないんですがこのごろは体が欲するものをいただいております。
 6時から朝の10時までというと結構時間が長くて、きゅうきゅう言うほどおなかがすくのですが、やることをやると大抵10時ごろになります。それから自分の食事を作ってゆっくりとエレガントにいただいております。(笑)
 南淵先生 エレガントなのは重々承知しております。(拍手)
 北川さん 最初の胸部大動脈瘤の手術をしていただいて、南淵先生はなかなか病室まではお見えくださらなかったのですが、藤崎先生は必ず顔を出してくださって「どうですか」とお声をかけてくださいました。(笑)それで退院のときに「北川さん、退院したらすぐに肺炎球菌を打ったほうがいい」と。そういうところまで細やかにご指導いただきました。(笑)そのおかげかも存じませんが、それ以来本当に風邪一つもひいたことはございませんで、すごく感謝しております。(拍手)
 南淵先生 どうもありがとうございました。今、話があった1日の食事が2回ということですと、医者のほうで毎食後1日3回なんていう薬は出せないですね。(笑)
 北川さん ええ、それを申し上げましたら、朝と夕方にお薬ということになりました。
 南淵先生 そうですね。これもさっき申し上げた(哲学者の)フーコーの要するに監獄の中の、患者さんというのも支配されたいということで、それを医者もわかっていて薬を3回飲みなさいみたいなことを言う。」今は1日1回でいい薬がたくさんあります。でも自分が病気だということ、それから規則正しい生活をするために3回出すというお医者さんも結構いらっしゃいます。藤崎先生、今の日課とかいろんな話全体に対する意見をお願いします。

調子のいいときに調子に乗らない、悪い時に落ち込まない

 藤崎先生 伺っていて、皆さん勤勉になさっているなというのはすごく印象深くて、とにかく何に気を付けたらいいですかと、特に男の人に多いです。奥さんに話をしているのは、「とにかく朝起きたら、顔を洗って、髪の毛とかして、鏡を向いて鏡のところでとかして、パジャマを脱いで服に着替えてと、それをまずやってください」と。
 病院にいたままですと、朝ご飯の時間はいいですけど、回診でその1時間後に行くと皆さんは大抵寝てるんです。これは非常によくないと思います。昼間寝ているものだから、結局は夜寝れなくて睡眠薬くれという話になります。自分が回診に行くときに、患者さんが8時とか寝ていると全員たたき起こしたりしたんです。
 とにかく家に帰ってもちゃんと顔を洗って、髪の毛とかして、服を着替えると。これも自分が男なので男をけなしますけれども、女性の場合はよくなってきたときにすごくよくわかります。回診に行くときに、最初は裾が乱れちゃってという方が多いです。ちゃんと顔を洗って髪の毛をとかして、それから僕らの回診を迎えてくださるようになってくると、もう退院できるなと思います。
 1回目の外来は2週間後ぐらいに見えます。そのときはまだすごく疲れた顔をしているのが、2回目の外来になると身なりもすごくしっかりして、お化粧もして、これはだれかなというぐらい変わってしまう方もいます。女性の場合、そういう方は本当にどんどんよくなっていっているんだなということが見ててわかるんです。
 男性の場合、あらかじめだらしない方が多かったりします。(笑)要するによくなっていく過程が見えない。家でも同じようなパジャマでごろごろしているだけという方は、その術後の経過としてリハビリもあまり進んでいないのかなと思います。だんだん弱っていって、そのうち転んで骨を折ったとか、そういうパターンもあるようです。だからスケジュールを立ててやることはすごく大事だと思いますが、一つ注意しなければいけないことは――渡辺さんはバイパス手術を受けられましたか。
 渡辺さん いえ、弁膜症の手術です。弁置換を。
 藤崎先生 冠動脈狭心症になりやすい方のA型気質というのがあります。血液型のA型のことではないです。とにかく全部自分でやらないと気が済まないというタイプです。何でもかんでもとにかく人に任せるのは嫌で全部自分でやらないと気が済まない。電池が切れるまで動き続けるという方は実は動脈硬化のリスクが高いと言われています。
 要するに、いいときに調子に乗って無理しない。人間の中にはバイオリズムがあって、いいときと悪いときが必ずあるので、その上下の幅をできるだけ狭めるために、調子のいいときに調子に乗らない、調子に乗って悪さや無理をしない。悪いときにあまり落ち込まないということが一つ大事なのかなと思います。だから元気で行けて今日は一日頑張ったからと、それで床についたらすぐ寝れて、次の朝また爽やかに目が覚めるということをなさっていれば、健康だと思います。(拍手)

男性も毎日鏡を見ることが大事、女性の目は一番の健康法です

 南淵先生 藤崎先生が言うように、女性は見た目を重視する生きものというか習性もあります。やっぱり患者さんを診たらすぐわかります。元気になって外来に来られたら別人のようになられているということも結構あります。今日の考心会ということで、昨日美容室に行った方もたくさんいらっしゃるでしょう。(笑)
 これは別として、藤崎先生が言った非常に重要なことは、鏡を見るということです。男性はあまりやらないのです。鏡を見るというのは身だしなみということもあるんですけれども、自分を知るということ、これを女性は毎日やっているわけです。毎晩欠かさず見ています。他人から見て自分がどう見えるかという、この人間社会の営みの中の自分ということです。反対に男は全然やってない。だらしないということだけでなくて自分本位でやる、自分さえよければやるというところも一つ表れているのかなというぐらいですから、男性も鏡を見るというか、まさに女性に従うということです。
 それから仏壇に手を合わすというのも女性ならではと思います。なぜかというと、女性は信仰心があるということかもしれませんけれど、それよりも女性の生活というのはもともと規則正しいのです。女性がいろんなことをしないといけない、家のことを全部しなきゃいけないということで、当然規則正しくなってしまうわけです。
 そうなると仏壇の水も代えなきゃいけない。水を代えるだけじゃ駄目で、掃除して埃もないようにする。置いてあるいろんなものの位置を整えるということになってきます。女性の生活というか、人生の一象徴がそういう、仏壇に手を合わすということにつながっているのかなと思います。反対に規則正しい生活をしていないとそういうふうにはならないと思います。これは男と女の生活というか、考え方の違いです。

女性の看護師と男性の医者では見方が違うことがもあります

 これは皆さんにも申し上げたい。例えば病院にいますと本当によくわかるのです。一人の患者さんに対して、看護師さんの見方と、男性である医者の見方と全く違うところがあります。患者さんが退院するときに、「どういうことに気を付けたらいいですか」と言われる。栄養士さんが栄養指導をして、徳田君がいろいろ傷のことをやってくれるわけですから、僕は本当に漠然としたことしか言えないです。
 ただ大事なことは、本当に冗談じゃなくて、男性の患者さんには「奥さんに逆らわないように」ということを言って、奥さんもぱちぱちと手をたたいてくれます。本当に女性の目は大変な健康法ではないかなと思ったりします。だから今日はそういうことも感じていらっしゃるんでしょうけれども、主催者側のほうが、患者さんということで男女2人ずつということになっていると思います。
 北川さん 私も主人がおりましたときにはやはりいろいろございます。一人前にいいことも悪いことも。ところが89歳で6カ月寝たきりになって、おしめも取り替え、夜中も2度起きて。そのときには顔も3日間ぐらい洗ってなくてごわごわしているので、顔も洗わなくちゃというぐらい主人につきっきりで看取りました。亡くなってすごく自由になった気持ちと、その自由というのが何て不自由なんだろうと。今度は全部ひとりで仕切らなくちゃいけないという重荷になりました。
 でも生前といっても脳梗塞になってからの3年ぐらいです。そういうときよりも、もっと今のほうが主人と話し合えている気がするんです。それはすごいプラスだったと思います。声に出して遺影に話しかける。そうすると自分の勝手ないい答えが返ってくるんです。それで満足しております。
 あとは終わりよければすべてよしじゃないですが、寝床に入るとき、「ああ幸せ」と大きな声で言って休むんです。それが日課といえば日課のようなことでございます。朝、お祈りするだけじゃなくて、夜のほうがいろいろと1日あったことを報告して、1日無事に過ごさせていただきました、ありがとうございますと。このごろはやたらに感謝の気持ちを言葉に出せるようになりました。(拍手)
 南淵先生 いや、もう、僕のような若輩者から、グウの音も出ないぐらいの本当に素晴らしいお話を聞かせていただきました。やはりそういった形で亡くなられた方、あるいはそれを通して自分を常に見詰めるということが、まさに今の北川さんの話に出てきたと思います。
 北川さん 何があってもご夫婦そろっているということは一番幸せなことだと思います。ですから今からでも遅くないですから、お互いに愛し合って尊敬し合って生活なさることが一番かと思います。それが健康法じゃないかなと思います。(拍手)

南淵明宏先生

渡辺忠昭さん

梅澤千代子さん

女性の言うことがすべて正しいので女性に従います

 南淵先生 もう一つ、最初に話がありました、ご主人に長年尽くしてこられたと思います。そのご主人が亡くなると自由になった。でもその自由であることが不自由に感じるというような、いろいろやはり女性というのは何か縛られて生きているということです。縛られていることの一つのよさというのもあるということかもわかりません。その辺に関して梅澤さんはどうでしょうか。
 梅澤さん やはり私もひとりで今は生活しています。何でもみんな自分でやらなきゃならないということも当たり前みたいです。
 南淵先生 でもご主人が生きていても別に家で何もしないでしょう。電球を代えるぐらい。そうでもないですか。
 梅澤さん 花の手入れは主人のほうが率先してよくやっていたんです。ですから私はずっと見る人だったんです。今はみんな自分で肥料をやったり、水をまいたり、ちょっと枝を切ったりとそういうことも皆やらなければなりません。ひとりでやるのが当たり前みたいになっています。ただ庭木のほうが苦手なのでちょっと苦労しています。
 南淵先生 そういうことですか。渡辺さん、さっきから僕も藤崎先生も男性をぼろくそに言っていますが、どうでしょうか。
 渡辺さん 女性のおっしゃることがすべて正しいということだと思います。(笑)私もこれからは家内にはあまり口答えしないように従順に生きていきたいと思っています。(拍手)
 南淵先生 大貫さんはいかがでしょうか。大貫さんの奥さんも大変活発な方でいらっしゃいます。
 大貫さん 私のところも毎月1回、市役所へ行って籍が抜かれているかどうか確認しないと落ち着いて寝られない。(笑)うちのかみさんも19から嫁に来て、もう54年たつんです。それこそ寝たことはお産したときだけで、1回も寝たことがないので本当に元気で、私はただ黙ってかみさんのやることについていくだけです。(拍手)
 北川さん 渡辺さんはゴルフやマージャンなさったりしていますが、私も若いときは主人が亡くなるまでしていたんです。男性のお友達はあまり誤解されませんが、女性はそういうお仲間には中々入れません。
 南淵先生 女性がサークルとかゴルフとかですか。
 北川さん はい。ゴルフのクラブもさびついていますし、これ(酸素)がございますから車の運転もできません。一番思うのは行動範囲がすごく狭まっていったということです。
 南淵先生 それは僕の勝手な意見かもしれませんが、北川さんの年代では人数が絶対的・世代的に少ないと思うんです。女は外に出るなという時代で、家の中でというところもあったのではないかなと思います。
 北川さん そうですね。今でもおいしいところがあっても一人で入れないで、結局はうちで孤食ということになっています。
 南淵先生 でも女性の一つの特徴で、入院すると部屋ですぐみんなと友達になってしまう。男はベッドが隣同士でも名刺交換しないと話が始まらないという動物です。女性は「部屋の中はみんないい方ばっかりで」とおっしゃいます。
 北川さん 私は駄目です。これでも人見知りするほうでございます。

友達やサークルの活用というのも健康法です

 南淵先生 女性同士の例えばこの考心会というのも一つの理由づけみたいなことで、女性の患者さん同士で気の合う人たちが集まることを活用されている方もいらっしゃると思います。女性のおつき合いというのはどうですか。
 北川さん あまり外出するのは好きじゃないです。
 南淵先生 そういう方もいらっしゃるし、そうでない方もいらっしゃる。梅澤さんはいかがですか。
 梅澤さん 私はお友達とたまにバスで日帰り旅行などを楽しんだり、オペラを鑑賞に行ったりしています。つい4月にも芝桜を見に羊山公園へ行きました。だからちょっと出て歩くのも好きです。ただ、あんまり歩くと疲れてしまうのでその辺が問題です。お友達とお話したり、そういうのは楽しいです。この間は同窓会があって食事会に出たりしました。お友達と会うと自分も刺激されて、こういうのをやらなくちゃというような気分になります。そういうのがありがたいと思います。(拍手)
 南淵先生 さっきも申し上げましたように、考心会という会に集まり、その後はまた食事したりお話ししたりということで、女性の人たちのグループというのをずっと見てきています。それは僕から見たら如実に一つの健康法なのかなと思います。男性は反対にできないことです。みんなでどこか旅行に行くとか、話をするということは、なかなか男性はできなくて、やっぱり女性ならではないかなと思います。そういうことによって一つの情報交換になるということもあるのかなと思います。
 北川さんはあまり外に出ないと言いながら、考心会には必ず出てきていただいているわけで、何かその辺は矛盾しているような気もしますが…。(笑)だから女性の友達の活用法というのはあるのかなと思います。渡辺さんはどうですか。グループを作って、友達、幼なじみと連れだってみたいなことはありますか。
 渡辺さん 私は純粋な関西人です。まさにそれぞれ、ましてや仕事は営業をやっていました。人づき合いといいますか、人と話しするというのは全く苦にならないタイプの人間だと自分で思っています。友達はものすごくたくさんいます。将棋の仲間、卓球の仲間、歌の仲間、それぞれ男性もいれば女性もいます。だけど一般的に女性のほうが圧倒的に元気です。
 年齢がいったら、どっちかというと男よりも女性のほうが元気があるように感じます。いろんなグループ活動では圧倒的に女性のほうが多いです。ボイストレーニングは20人ぐらい生徒がいますが、男は私一人です。だけど辛抱して通っています。(笑)
 南淵先生 ということで、女性が好きな男性はぜひボイストレーニングに行ってください。女性ばかりです。(笑)先ほど僕も話をさせていただいて、司会の古沢さんに「関西人らしいな」と言われました。でもやっぱり関西人は話が好き、陽気、声がでかい。世界中どこの観光地に行っても、大阪のおばちゃんが何か値切っていると聞きますが、全くそのとおり。声の大きさというのもどうですか。詩吟の大貫さんは声がでかい。大貫さんの場合は畑が広いのでどうしても声が大きくなります。(笑)
 大貫さん どうしても声が大きくなります。だから内緒話はできないです。(笑)声の大きい人で悪者はいません。(拍手)
 南淵先生 今までのところで藤崎先生いかがでしょう。

感謝の心を持つことは自分の心の状態をよい状態に保ちます

 藤崎先生 皆さんのお話を伺っていてふと思ったのです。先ほど自分の話の続きで、自分の心をよく保つ方法の中にトレーニングとして感謝の気持ちを常に持つようにしなさいというのがありました。
 大貫さんがおっしゃっていたのは、要するに畑をやって、詩吟の生徒さんがたくさん来てと考えると50人が50人みんなが従順な人ではないでしょうし、面倒くさいじゃないのかなと言う人もいる。でもそういう人が自分の教室に集まってくれるとか、今日1日、元気にできたとか、つまらないことでも感謝の気持ちを持つということは、やっぱり自分の心の状態をよく保つにはすごくいいだろうなと思います。
 翻って自分はどうか。手術の結果として患者さんがよくなったときに、よくなってくれてありがとうという感謝の気持ちを持てているかというと、そうでもないのです。自分のことに翻って感謝の気持ちを持つというのは大事だなと思います。
 この間のマスターズの最後にテレビ見られた方はご存知と思います。アダム・スコットとアンヘル・カブレラの最後のプレーオフを見ました。1ホール目で決着がつかなくて、2ホール目で2人が両方ともツーオンして結構離れていました。カブレラが先にスーパーショットを決めて、その後にスコットがやったときに、カブレラがスコットのほうを向いて「ナイス」という感じで指を上げたのです。そうしたらスコットがまたそれに「ナイス」というように返して、そこからパットの打ち合いになりました。
 カブレラは5センチぐらい外したのです。それを見てスコットはバーディーパットで優勝しました。その後に2人が、要するにお互いにいい試合をさせてくれてありがとう的なものを見て、すごくじんと感じました。やっぱり感謝の気持ちというのは人の力をすごく引き出してくれます。(拍手)
 南淵先生 スポーツで勝っても相手が強くなかったら勝った価値は全然ないみたいです。日本の選手はそういうことを言わないですけど、海外ではサッカーでも野球でも勝ったほうの人たちが相手を必ず褒めます。それは相手を褒めながらそれに勝った俺はすごいんだということです。
 藤崎先生は今、感謝の気持ちは自分では足りないと言っています。でも今日これは皆さんに感謝でしょう。こういった方々に僕は心臓外科医としてお呼びいただき、つき合っていただいて本当に感謝です。
 健康法という話ですが、実は藤崎先生も僕も毎日感じていますが、やっぱり健康法を僕らが皆さんから教わっているのです。たくさんの患者さんを診て、心臓の状況も悪くなったりするような病状でも、皆さんは気丈にそれを打ち負かしてそれで病院に来て治療を受ける。再度入院される方もいらして、それでまた病気を打ち負かす。でもその前に自分の気持ちを盛り上げて、苦難を気持ちの上で打ち負かして、それで自分の手術を成功に持っていく。僕らではなくて患者さん自身です。そういうのをずっと拝見させていただきました。
 北川さんには3回も手術させていただきました。そういうのを見させていただいて、いやすごいな。人間ってこうあるべきだと僕らが学んでいるというのが現実であります。皆さんは健康法というテーマで話し合うわけですが、今日は僕らが話すのではなくて、僕らがそれを教えていただくという会だったのではないかなと思います。今日は本当にありがとうございました。(拍手)
 最後に大貫武男さんが、奥様のナレーションを入れ込んで、詩吟「同期の櫻」を朗詠し、会場から大きな拍手を浴びました。

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